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褥瘡(評価、治療)

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NPUAP分類 (National Pressure Ulcer Advisory Panel:米国褥瘡諮問委員会)

参照: NPUAP分類

NPUAP分類|褥瘡の重症度分類|ナース専科

以下の6病期に分類

・DTI疑い(深部組織損傷疑い)
・ステージⅠ(紅斑:消退しない発赤)
・ステージⅡ(真皮に及ぶ)
・ステージⅢ(皮下脂肪に達する)
・ステージⅣ(筋、骨に達する)
・判定不能(深達度IIIかIVか判断できない場合)

 

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改定DESIGN-R®2020

・DESIGNは日本褥瘡学会学術教育委員会が開発した褥瘡状態判定スケールで、2002年に日本褥瘡学会が発表した。褥瘡の重症度を分類するとともに、治癒過程を数量化することを目的に開発されました。

・DESIGNは、「Depth(深さ)」「Exudate(滲出液)」「Size(大きさ)」「Inflammation / Infection(炎症/感染)」「Granulation(肉芽組織)」「Necrotic tissue(壊死組織)」および末尾の「Pocket(ポケット)」の7項目からなり、頭文字を使ったわかりやすい表記と、厚生労働省の褥瘡対策未実施減算と相まって褥瘡評価スケールとして広く使用された。

・その後、それぞれの項目の重みづけがエビデンスをもとに検討され、2008年にDESIGN-R®として公表された(RはRatingの意味)。深さ以外の6項目により褥瘡の重症度を絶対的に評価し、褥瘡の治癒過程を定量的に比較評価できるようになりました。

・さらに2013年の改定では、診療報酬の入院基本料において褥瘡の状態評価にDESIGN-R®が用いられることになったことを受け、急性期であっても評価できるよう説明文が追加されました。

・これらの改定を通じてDESIGN-R®は、国内はもちろん、世界的にも高く評価されるようになりました。

 

 

2020年改定点

・深さの項目に「深部損傷褥瘡(DTI)疑い」と、炎症/感染の項目に「臨界的定着疑い」の項目が追加された。

・この2つは、「褥瘡予防・管理ガイドライン(第4版)」にその治療について示されているにもかかわらず、「DESIGN-R®」では評価項目に含まれていませんでした。

・そのため、実際に「DESIGN-R®」を使用して評価するときに、DTIや臨界的定着(クリティカルコロナイゼーション)を疑う褥瘡をどう表現したらよいか、迷うところでした。

「深部損傷褥瘡(DTI)疑い」

・今回の改定で「DTI疑い」は「Depth(深さ)」の項目で、「DTI」として追加された。

・それに伴い、従来の「U(深さ判定が不能な場合)」は「壊死組織で覆われ深さの判定が不能」としての「U」に変更になっています。

・「U 」は今回の改定によって,「急性期を過ぎて壊死組織があるが,深さを同定していない褥瘡」
という意味を有するようになりました。実臨床において 「U」 としての評価は壊死組織を十分に
除去していない状況を反映し,創傷治癒のみならず軟部組織感染症予防の観点からも好ましくありません。

・DESIGN-R®2020 での DU の状態はできるだけ短期であるべき

「DTI」の点数は0点

 

「臨界的定着疑い」

・細菌と創傷の関係は、4段階に分類されます。

①創汚染(Wound contamination)
②定着=コロニー形成状態(Wound colonization)
③臨界的定着(Critical colonization)
④創感染(Wound infection)

・臨界的定着細菌数が多くなり、創感染に移行しそうな状態です。

・肉眼的に明かな感染兆候はありませんが、浸出液の増加や悪臭、浮腫状の肉芽を認め、創治癒が遅
延している病態を示します。

・「①創汚染」「②定着」の状態であれば、細菌は創に悪影響を与えることなく、適切な処置を行えば創は治癒に向かいます。しかし③クリティカルコロナイゼーション状態の創は、肉眼的には明らかでないものの炎症が生じており、バイオフィルムを伴う細菌による感染が生じていると言えます。

・バイオフィルムは微生物が自身の産生する粘液とともにつくる膜状の集合体で、抗菌物質やリンパ球の菌への接近を妨げ、治癒遅延を引き起こします。適切な処置をしていても創が治癒に向かわず、「創面にぬめりがあって、滲出液が多い」「肉芽が浮腫性で脆弱」な場合は、クリティカルコロナイゼーションの可能性があります。

・「Inflammation/Infection 炎症/感染」の項目で、「3C」として追加されました。

・「3C」の点数は3点

 

DESIGN-R®2020 褥瘡経過評価用

http://www.jspu.org/jpn/member/pdf/design-r2020.pdf

 

 

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予防

2時間ごとの体位変換

・座位時の骨盤後傾予防

 

テープ牽引法

皮膚にたるみがあるポケットでは、ポケット方向にテープ(粘着力の弱い茶テープ)2,3本で牽引することでtensionを掛け、皮膚が移動しないようにする。

 

外用

感染制御、除去に適する外用剤

・ゲーベンクリーム
滲出液の少ない黒色~黄色期の感染制御

 

・ネグミンシュガー、精製白糖,ポビドンヨード(ユーパスタコーワ軟膏®)
滲出液の多い黒色~黄色期の感染制御
強い吸水

 

・ヨウ素軟膏(カデックス®)、ヨードコート
基材:デキストリンポリマー(吸水性あり)
滲出液の多い黒色~黄色期感染制御
弱い吸水

 

ユーパスタ®とカデックス®の違い

・ともにヨウ素製剤(抗菌作用)

・「ユーパスタ」は浸出液で無毒化され、殺菌力が落ちる。吸水力は強力

→汚染が強く、浸出液がかなり多い創に使用

・「カデックス」は浸出液にさらされても殺菌力が落ちにくい。吸水力は少し劣る

→創表面のヌメリが取れない創に使用する

 

肉芽形成を促進させる外用剤

・オルセノン
基剤:乳剤性軟膏(→中等度保湿)
滲出液の少ない赤色期

 

・プロスタンディン
基剤:プラスチベース(→油脂性軟膏)
滲出液が適正~少ない赤色期

 

・アクトシン
基剤:マクロゴール(水様性基剤→水分吸収作用)
滲出液が過剰、または浮腫が強い創面の赤色期

 

・フィブラスト
滲出液が適正~少ない。赤色期

 

・リフラップ30g+ソルベース70g(3:7混合)
上皮化促進

(注:テラジアパスタは販売終了。代替としてソルベース)

 

ポケットの解消、除去

・ネグミンシュガー
注:カデックスはポリマービーズが水溶性ではなく、ポケット内に残存し感染の温床になる可能性があることから、ポケットにて使用するべきではない。

 

・ヨードホルムガーゼ

 

・フィブラスト
滲出液が少ない創

 

・オルセノン
基材:トレチノイントコフェリル(乳剤性→中等度保湿)

ポケットの治療

1.創口が小さく、ポケット内が大きい場合
・ポケット内は浸出液が貯留しやすく、湿潤状態が高い

ブロメライン軟膏(吸水、マクロゴール、パイナップル酵素(壊死組織融解))

清浄後、ユーパスタにより肉芽形成

最後の閉創にソルベース(吸水)

 

参考文献:

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