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感冒、急性気道感染症(いわゆる「かぜ(風邪)」)

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風邪、感冒の定義

・「鼻症状(鼻閉、鼻汁)」「咽頭痛」「咳嗽」を伴うウイルス性上気道感染症

・症状は軽度で対症療法のみで自然軽快する

・原因ウイルスはライノウイルス、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、RSウイルス、パラインフルエンザウイルスなど

※上記の症状のうち一つだけが数日以上続く場合は感冒ではないと判断、精査対象

 

 

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ACP(米国内科学会)による「急性気道感染症」の分類

「鼻症状(鼻汁、鼻閉)」、「咽頭症状(咽頭痛)」、「下気道症状(咳、痰)」の3系統の症状の組み合わせにより、下記の4疾患に分類する

・鼻・副鼻腔炎型(はな型)

・咽頭・扁桃炎型(のど型)

・気管支炎型(せき型)

・非特異的上気道炎型(普通感冒、かぜ症候群):「咳、鼻、のど型( 3系統を同程度認めるもの)」
感冒の特徴、自然経過
・鼻、咽頭、下気道症状が同時に同程度分布(→ウイルス性の特徴)
・まず微熱や倦怠感、咽頭痛、筋肉痛が出現(これらは数日で治まる)

・1,2日遅れて鼻汁、鼻閉が出現

・その後咳や痰が発症から2~3日後に出現

・発症から2~3日目前後を症状のピークとし、7~10日かけて徐々に軽快する。

・咳は3週間程度続くことがある。

 

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見逃してはいけない「かぜ」とその類縁疾患

気管支炎型

・10%弱で非ウイルス性あり(マイコプラズマ、クラミドフィラ、百日咳)

・膿性痰はあてにならない

・70歳未満の免疫正常者は頻脈(>100回)、頻呼吸(>24回)、発熱(>38℃)、聴診異常がある場合は肺炎を考慮する

「微熱と咳が長引く」場合は結核を鑑別

 

咽頭扁桃炎型

・「嚥下時痛」の有無を確認。咽頭・扁桃炎であれば嚥下時痛を伴うことが多い

・「嚥下時痛」を伴わない場合は甲状腺炎による痛みや近傍臓器からの放散痛を想定(心筋梗塞、大動脈解離など)

・咳、鼻汁、結膜炎、嗄声、下痢、口咽頭の潰瘍や水疱はウイルス性を示唆

・発熱の持続、脱力、盗汗、有痛性リンパ節腫脹、滲出性咽頭扁桃病変、猩紅熱様皮疹、口腔内点状出血、扁桃腫大は細菌感染を示唆

・Centorスコア、Mcisaacスコアを用いる(参照)

・重症所見を見逃さない(嚥下困難、流涎、頚部圧痛・腫脹

 

鼻副鼻腔炎型

・画像診断は感度は高いが特異度が低く、細菌感染とウイルス感染の鑑別には役立たない

・「改善なく10日以上持続」、「強い症状(39℃を越える発熱、膿性鼻汁、顔面痛)が3日以上持続」、「症状が発症3日以降に再増悪(double sickening:二峰性増悪)」、「顔面痛は片側性(すくなくとも左右差あり)」「改善中の上気道炎に引き続く新規の発熱・頭痛、鼻汁増加」がある場合は、細菌性を示唆

・細菌性の陽性尤度比が高い所見として、「カスコミア(患者の息に含まれる腐敗臭)」「歯の痛み」「全体的な臨床印象」

 

インフルエンザと風邪の見分け方

インフルエンザの特徴

・インフルエンザ検査キットの感度60%、特異度98%

・インフルエンザであっても、約3人に一人は検査陰性

・風邪と比較して、「急激な発熱」「筋肉痛」「関節痛」などの全身症状で発症する

・咳は最多の症状

咽頭後壁のリンパ濾胞は流行期では感度95~100%、特異度91~100%と有用な所見

 

非薬物療法のすすめ

・温かい飲み物(70~75℃)

30分以内に鼻の通りの自覚症状を軽減する。

・等張食塩水による鼻すすぎ

鼻炎症状を改善する。

・ハチミツ

抗酸化作用、サイトカイン増加による抗菌作用、甘味による唾液分泌、気道粘膜分泌増加による咽頭喉頭鎮痛効果、気道クリアランス改善など)

小児に対する眠前のハチミツは夜間咳嗽頻度を減らす。

成人では8時間おきに内服したところ咳嗽軽減効果あり。

投与法)小さじ1~2杯を直接舐める、コーヒー、紅茶、牛乳に混ぜる

・亜鉛(ココア)

抗ウイルス効果あり

 

薬剤による対症療法

・アセトアミノフェン

・鎮咳薬(あまり効果なし)

・鼻副鼻腔炎に対して点鼻ステロイド、鎮痛薬

・水様性鼻汁に対して「麻黄附子細辛湯」

・葛根湯(風邪の引き始めに、初回2包を白湯200mLに溶いて、生姜を少し加えて飲む)

 

参考:抗菌薬を希望する患者さんへの説明

「感冒に抗菌薬を処方しても治癒が早くることはありません」

・「成人では、抗菌薬による副作用(嘔吐、下痢、皮疹など、17.8%)が偽薬群(8.6%)と比べて2.62倍多く発生することが報告されています。」

参照:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23733381/

・「感冒に抗菌薬を処方しても肺炎は防げません。正確には、1万2,555人の風邪患者に抗菌薬を処方すると、1名の肺炎での入院を防げる程度、というデータがあります。」

参照:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23508604/

・「一方、一旦軽快傾向にあった症状が再増悪(2峰性の経過)した場合は、細菌性肺炎や細菌性副鼻腔炎などの2次的な細菌感染が合併している可能性があるので、その時点で診断を見直す必要があります。」

抗菌薬ドリル

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