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顔面神経障害(診察、鑑別)

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顔面筋の診察

1)顔面上部(額のしわ寄せ)

・検者の指を注視してもらい、上にあげた指を頭を動かさずに追視してもらうと額に皺が寄る

・額の筋は両側支配であるため、末梢性ではしわ寄せができないが、中枢性では上部顔面の麻痺はなくしわ寄せができる

 

2)眼輪筋

・しっかり閉眼を指示→重度の麻痺では閉眼不十分で白目が見える

 

3)口周囲

・歯を「イー」とむき出し→笑筋、大頬骨筋
・口笛を吹く、頬を膨らます→口輪筋

 

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顔面神経の解剖

顔面神経は以下4つの成分をもつ混合神経である

① 一般体性求心性線維:

・外耳皮膚の温痛覚、触覚

② 特殊内臓性求心性線維:

・舌の前2/3、硬口蓋、軟口蓋からの味覚

③ 特殊内臓性遠心性線維:

・表情筋、広頚筋、頬筋、アブミ骨筋の運動

④ 一般内臓性遠心性線維:

・顎下腺、舌下腺、涙腺、鼻腺分泌

 

参照(このサイトより引用):http://www.anatomy.med.keio.ac.jp/funatoka/anatomy/cranial/cn7.html

 

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代表疾患

1)中枢性麻痺

・純粋な運動麻痺を呈する

末梢性との鑑別点

・一方、顔面神経は混合神経であるため、末梢性では、麻痺側の聴覚過敏、麻痺側の涙腺、唾液腺分泌低下、舌前2/3味覚低下などの症状を来しうる

 

 

2)Bell麻痺

・急性に発症する特発性の末梢神経障害(末梢性顔面神経麻痺の72%)

・原因不明であったが、顔面神経膝細胞節に潜伏していた単純ヘルペスウイルス(HSV-1)が再活性化し炎症が生じ、脱随に至ることが主な病因と考えられている。

・妊娠は発症のリスクになる

・糖尿病との合併も多い

・再発率は5~12%

症状

・聴覚過敏(アブミ骨筋反射の障害により鼓膜の緊張が増すため)

・麻痺側の涙腺、唾液腺分泌低下

・舌前2/3での味覚消失(鼓索神経の障害)

・耳介、顔面の痛み、しびれ(約半数)

治療・予後

・約90%は数か月で完全回復するが、味覚障害を伴う場合、高齢者、完全麻痺の症例では後遺症が残ることがある。

・PSL 60㎎7日間(発症48時間以内に開始)、その後漸減

 

3)Ramsay-Hunt症候群(ラムゼイ-ハント症候群)

・初感染後、膝神経節に潜伏している水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV:vallicalla-zoster virus)の再活性化により生じる末梢性顔面神経麻痺
・顔面神経麻痺
耳介・外耳道の発疹、水疱、疼痛(後耳介神経(感覚)→耳性帯状疱疹)
・隣接する内耳神経(Ⅷ)に炎症が波及し、感音難聴、耳鳴り、眩暈
・患側軟口蓋、舌前2/3の水疱

検査:

・VZV血清IgG抗体ペア測定、
・IgM(初感染)
・ウイルス抗原検出
・水疱液のPCRによる水痘帯状疱疹ウイルスDNA検出

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