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興奮ベクトルの方向

ベクトルなんていうと難しそうですが、興奮が向かう方向の平均です。垂直面では四肢誘導を見ます。

Ⅰ誘導とaVFを見て、どちらも陽性波つまりR波が、陰性波(S波)より大きければ、両誘導とも平均ベクトルはプラスですね。その合成ベクトルは、0°~90°の間にあり、電気軸は正常です。Ⅰ誘導でマイナス、aVFでプラスなら、90°より時計回り(右向き)となり、右軸に偏位しています。

逆にⅠ誘導でプラス、aVFでマイナスなら、0°より反時計回り(左向き)となり、左軸に偏位しています。正確な数値は、作図して求めましょう。Ⅰ誘導、aVFともにマイナスならどうなるでしょう。時計では9時~12時、軸で
は+180°~270°となります。これを不定軸といいます.

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心尖部が真下近くに向いている場合(たとえば肺気腫で心臓が下に引っ張られている場合や、やせた若年者など)は、電気軸は真下つまり+90°(6時)に近くなり、aVRとaVLが似た形になり、aVFが大きくなります。これを垂直位心または立位心といいます。

一方、心尖部が左水平近くに向いている場合(肥満で横隔膜が挙上している場合など)は、ベクトルは左水平方向に向き、aVLは陽性で大きく、aVRは去っていく成分が大きくS波が大きく平均ベクトルは陰性になります。

水平面は胸部誘導で見ます。

最初の心室興奮ベクトルは右向きで、V1、V2ではR波をつくり、メインの心室の興奮の平均は、左やや前向きになりますので、V1~V3でS波、V4~V6でR波となります。

正常パターンは、R波はV1から高さを増し、V5で最大になります。S波はV2で最も深くなり、V4以降は消失することが多くなります。R波の高さとS波の深さが等しくなる誘導を移行帯とよび、正常では、V2~V5の間にあります。V2よりも右側の移行帯は反時計軸回転、V5より左側にあれば時計軸回転といいます.

この時計、反時計は心臓を下から見上げたときの回転方向です。間違えやすいので気をつけましょう。

 

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