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腹水(原因、検査、治療)

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腹水の原因

下記を念頭に置いて問診と検査を行う

① 肝硬変(81%)

② がん(10%)

③ 心不全(3%)

④ 結核(2%)

⑤ 透析(1%)

⑥ 膵疾患(1%)

⑦ その他(2%)

 

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検査項目

ルーチン検査項目:

・白血球(分画)

・生化学(総蛋白、アルブミン(SAAG計算のため)、糖、LDH、アミラーゼ、クレアチニンを含む)

・尿検査・尿蛋白(ネフローゼ症候群の除外)

・グラム染色

・抗酸菌染色

・細菌培養(血培ボトルに10mlずつ2本)

・抗酸菌培養

・細胞診(悪性疾患が鑑別に上がる時):50mL以上提出必要

その他(原因鑑別のため):

・HBs抗原、HCV抗体

・抗核抗体、抗ミトコンドリアM2抗体、免疫グロブリン値

 

 

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滲出性、漏出性の鑑別

① 腹水蛋白濃度による

・1.0g/dL未満:肝硬変、アルコール性肝炎

・2.5g/dL以上:うっ血性心不全、Budd-Chiari症候群

 

② SAAG(serum-ascites albumin gradient : 血清ー腹水アルブミン差)

1.1g/dL未満:

低アルブミン血症(ネフローゼ症候群、蛋白漏出性胃腸症、など)

癌性腹水

結核性腹膜炎

1.1g/dL以上:

① 腹水蛋白≧2.5:心原生腹水、早期Budd-Chiari症候群、類洞閉塞症候群

② 腹水蛋白<2.5:肝硬変、晩期Budd-Chiari症候群

 

参考:リバルタ反応

・腹水・胸水などの蛋白量を定性反応で判定する簡易検査。

・滲出出液で陽性、漏出液で陰性に。

 

各論

特発性細菌性腹膜炎

・①腹水中の好中球≧250/mm3、②腹水培養が陽性、③2次性腹膜炎の否定、の全てを満たした場合に診断、治療を開始する

 

腸管穿孔による2次性腹膜炎

・腹水総蛋白>1g/dL

・腹水糖<50㎎/dL

・腹水LDH>血清の上限以上

→上記のうち2つ以上を満たす場合に疑う

 

結核性腹膜炎

・症状:腹水、腹痛、発熱、体重減少

・腹水ADAの感度59%、特異度95%と、感度が低く、ADAが陰性でも否定できない
・腹水所見:
リンパ球優位
SAAG(serum-ascites albumin gradient : 血清ー腹水アルブミン差)<1.1(滲出性)
腹水中ADA>40

 

治療

原則

・水分と塩分を制限し、肝臓への負担を軽減するために適度の安静も必要となります。

・さらに効果を見ながら利尿剤を用いることもあります。

・これでも改善しない場合は、アルブミンを注射で補います。

・ただし、腹水を減少させる薬剤は循環血液量を減少させ肝臓には負担になるので、使っても少量ずつが原則です。少量の腹水が残っていても問題にはなりません。

 

1.減塩

・軽症~中等症に対して

・食欲を損なわない程度の緩やかな塩分制限(1日5~7g)

 

2.利尿剤

・スピロノラクトン25、最大50㎎/日

肝性腹水はレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の亢進が関与しているため、まずは抗アルドステロン薬から開始する。

・それ以上ではフロセミド併用、20㎎/日(最大40㎎/日)

・低アルブミン血症(<2.5g/dLの場合):アルブミン25%(50mL)2V

・それでもダメならトルバプタン3.75㎎/日から併用開始、最大7.5㎎/日まで

 

3.腹水ドレナージ

・PT-INR1.5未満、血小板数5万以上あれば可能

・初回から多量に腹水を排液すると、血圧低下をきたすことがあるため、初回は100mlの試験穿刺、または1L以内の排液に留めること。

 

 

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