酸素療法下での酸素化の指標
P/F比(PaO2/FiO2)
・正常≧400(若年成人では100/0.21=480)
・ALI(急性肺障害)≦300
・ARDS≦200
鎮痛+鎮静(鎮痛法)
フェンタニル+(プロポフォールorミダゾラム)
・成人の人工呼吸管理では、鎮痛を優先して行う「鎮痛法」が推奨されている。第一選択はフェンタニル
・フェンタニルによる鎮痛に、プロポフォールまたはミダゾラムによる鎮静を併用する
・プロポフォールは呼吸、循環抑制作用が強く、ショックや循環不安定では推奨されない
(→その際はミダゾラムを選択)
・ミダゾラムはせん妄、覚醒遅延など多くの副作用があるため、あまり推奨されない。ただし循環抑制作用が少ないため、プロポフォールが使用できない場合に選択する
換気モード
標準的な人工呼吸器のモード3種類
・A/C(assist control)
・SIMV±PS
・CPAP
換気様式:従量式か従圧式か?
換気モード各論
A/C(Assist / Control)
呼び名:アシストコントロール、A/C、CMV、PCV、VCVなど
・「Day1」(超急性期)での人工呼吸管理のモード
・自発呼吸がある場合「Assist:補助換気」、自発呼吸がない場合「Control:調節換気」を行う
・呼吸を完全に人工呼吸管理に依存させる(すべて強制換気)
・すべての自発呼吸において設定した1回換気量,または1回吸気圧(Pinsp)を送り込む。
・自発呼吸が設定呼吸回数より多ければ、呼吸回数は自発呼吸の回数となる。
例)
換気回数の設定が12回/分で、自発呼吸が20回/分ある場合、
20回全ての自発呼吸に設定した1回換気量が送気される。
・Savina®では,圧でのA/Cは「BiPAP」、量でのA/Cは「IPPV」
・長所は呼吸努力が減少することで呼吸補助を受け、呼吸筋疲労の改善が期待できること。
・最も呼吸仕事量を軽減できる
・短所としてはVTが患者の要求量と適さないと、不適当な過換気や呼吸努力が増加する可能性がある。
SIMV(synchronized intermittent mandatory ventilation,同期式間欠的強制換気)
PS(pressure support)
CPAP
呼び名:CPAP、PS、PSV、Spontモード
・すべてサポート換気で換気
・呼吸回数設定はない
・呼吸仕事量は最大になる
・吸気・呼気を通じて気道に一定の陽圧がかかるのみで、すべて自発呼吸で呼吸数が維持されるモード
・CPAPだけでは換気補助が足りない場合、適宜PS(5-20 cmH2O)を追加する。
・長所として自発呼吸で換気でき、離脱に近い患者の人工呼吸器管理ができること
・短所には、自発呼吸が弱いもしくはない患者で使用不可能な点が挙げられる。
人工呼吸器初期設定
最高気道内圧(プラトー圧)
・安全のため 「30cm H₂O以下」で設定
FiO2
・FIO2の設定では,低酸素は原則として避けなければいけないので100%で開始。
・PFを確認後、持続的な高濃度酸素暴露による肺障害を予防するためSpO2 92~94%になるように速やかに減量(48-72時間以内にFiO2 60%以下をめざす)。
TV (tidal volume):1回換気量
・6 ~8mL / kg理想体重
理想体重:男性:50+0.91(身長(㎝)-152.4)
女性:45.5+0.91(身長)(㎝)-152.4)
注:ARDSでは肺が固いため、気道プラトー圧が30㎝H2O以上であれば6mⅬ×kg理想体重に減量
1回吸気圧(Pinsp)
・10-15 cmH2O(目標VTになるように調整)
吸気時間(Tinsp)・呼吸回数(f)
・吸気時間: 0.8-1.0秒で設定(今どきはI:E比で管理することはない)
・f :8-12/分
PEEP
・呼気終末の肺の虚脱を防ぐ,または虚脱した肺を広げる目的
・5 cm H₂Oより開始、2cm H₂Oずつ上昇。
⇓
20分後、血液ガス測定
圧トリガー
・患者の吸気陰圧を感知する方式
・初期設定は1~2cm H2Oにする
フロートリガー
・患者の吸気流量を感知する方式
・初期設定は2~3L/分とする
開始後の目標値
PaO2目標
・60mmHg以上あればよい
・FiO2、PEEPで調整
・FiO2 60%以下を目標に、下げられるまではPEEPはそのままにしておく
・high PEEPは許容(最大20㎝H20程度まで問題ない)
PaCO2の調整
・pHが7.2を下回らなければ、高PCO2 は許容してもよい
(permissive hypercapnia:高二酸化炭素許容人工換気法)
・1回換気量、呼吸回数(=分時換気量)で調整
プラトー圧
・30cmH2O以下
参考文献:
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