B型肝炎ウイルスについて(ドック専門医試験)
B型肝炎ウイルスについて(ドック専門医試験):
・主たる感染経路は性行為あるいは血液等の水平感染である。
・B型肝炎ウイルスは遺伝子の変異株がしばしばみられ、Genotype A、B、C、D、E、F、G、H等がみられる
・持続感染者では時に急性増悪を呈し劇症化する
・無症候性キャリアのうち慢性肝炎に移行するのは10%以下で高頻度ではない。
de novo B型肝炎:
・治療に伴うB型肝炎ウイルスの再活性化(reacvtivation)によって発生した肝障害をde novo B型肝炎という。
・時に劇症肝炎へ進展する危険性がある。
・化学療法や免疫療法に伴ってB型肝炎ウイルスの再活性化が懸念される時には「核酸アナログ製剤」を治療前に開始することが推奨されている。
核酸アナログ製剤における「アナログ」とは、「似ているもの」「模造品」という意味です。具体的には、ウイルスが増殖する際に必要な材料である「核酸」と構造が似ている薬剤(核酸アナログ)が、真の核酸の代わりに酵素に結合することでDNA合成を阻害し、ウイルスの増殖を妨げる働きをします。
・B型肝炎に対する「核酸アナログ治療」は、肝炎の活性化や線維化予防を主眼とする(ウイルス排除の治療ではない)。
HBVの特徴
・DNAウイルス(↔HCVはRNAウイルス)
B型肝炎ウイルスの感染経路
・主に血液等の水平感染、性行為感染
その他:
・家庭内感染
・透析
・刺青
・鍼治療
HBVマーカー
HBs抗原:現在HBVに感染
HBs抗体:既感染治癒、またはワクチン接種
HBe抗原:ウイルス複製活発(活動性、感染力が強い)
HBe抗体:非活動性肝炎、キャリア(活動性が低い)
HBc抗体(c:core;HBV核):HBVに感染しており高力価、HBV感染の既往がある(多くはHBs抗体も陽性)、またはキャリア(HBs抗原陽性)
HBV DNA:HBV量や活動性を反映
B型肝炎ウイルス検診
HBs抗原検査
↓
陽性なら、HBe抗原、HBe抗体検査
↓
HBe抗原陽性、HBe抗体陰性
↓
HBV-DNA検査
免疫抑制状態での検査
・HBs抗原陰性でHBc抗体陽性の場合は、HBs抗体の有無にかかわらずHBV既往感染であることを示し、体内にHBVが潜伏感染していることが最近の研究で明らかになりました。
・健常者では臨床上全く問題は生じませんが、何らかの要因により免疫能が低下するとHBVが再増殖し、B型肝炎が再燃することがあるので注意が喚起されています。
・したがって、免疫抑制剤や抗がん剤などの使用に際してはHBs抗原、HBs抗体とともにHBc抗体を測定することが推奨されています。
無症候性キャリア
劇症化
遺伝子変異株
・B型肝炎ウイルスは遺伝子変異がしばしばみられ、Genotype A、B、C、D、E、F、G、H等がみられる
治療
核酸アナログ製剤
・HBVの複製に必要なDNAポリメラーゼを阻害し、HBVの増殖を抑える抗ウイルス作用をあらわす。
・本剤は核酸の構成成分に類似した構造を有することから「アナログ=類似の」という意味をもつ言葉を用いて「核酸アナログ製剤」と呼ばれる。
・肝炎の活動性や線維化予防作用がある
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