脊椎炎? 椎間板炎? 椎体炎?
・「整形外科学用語集」(日本整形外科学会編)に「椎間板炎」「椎体炎」なる用語はない。
「化膿性脊椎炎(pyogenic spondylitis)」は用語集にある。
(→脊椎の感染症が「椎体前辺縁の終末動脈で増殖」→「椎間板内穿破」→「椎間板破壊」の順番ですすむため、「椎間板炎」は「脊椎炎」に包含される??)
症状
・腰背部痛(86%)
・安静時痛
・発熱(35~60%)
・根症状、脱力/麻痺・感覚異常/尿閉などの神経症状(34%)
・炎症反応高値(赤沈、CRP)感度高い
→正常なら除外考えられる
・WBCは4割近くが定常範囲
↓
・腰痛患者が、発熱や安静時痛を訴える場合は、採血、MRIをオーダーすること
・MRIでは感染初期にはT2よりT1やSTIRの方がわかりやすい
起炎菌
・ブドウ球菌(最多)
・連鎖球菌
・腸内細菌(大腸菌)
鑑別疾患
・特に感染性心内膜炎の鑑別が必要
検査
血培2セット
・最低2セット、場合によっては3セット
MRI(単純、できれば造影も)
・X線写真とCTでは、病初期の変化を捉えることは困難。MRIが有用。
・MRI T1で低信号、T2強調画像で高信号、椎間板とその周囲の椎体の破壊を認める
・特に脂肪抑制画像(STIR)で変化を見つけやすい
生検検体培養(CTガイド下または外科的生検)
治療
・神経症状が出ている場合は緊急手術を考慮する状況
・骨髄は抗菌薬移行が不良のため、最低6週間の治療が必要
・CRP、赤沈の定期検査で経過を追う
・MRSAでは約12週間の長期治療が必要
点滴静注
・セファゾリン(CEZ)
※ 内服薬に切り替えるタイミング:「COMS」
C:clinical improvement observed(臨床症状の改善がみられる)
O:oral route is not compromised
経口投与が続けられる。嘔吐、重度の下痢症、腸管の 吸収障害、嚥下障害がない
M:markers showing a trend towards normal(臨床的な指標が正常値に向かう)
少なくとも24時間発熱がなく、バイタルサインの異常(脈拍>90回/分、呼吸数>20回/分、血圧不不安定)、好中球減少を含めた白血球の異常がない(異常値であれば改善傾向にある)
S:specific indication/deep-seated infection(特定の感染症でない)
S.aureus菌血症、髄膜炎、感染性心内膜炎など
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