概要
・治療抵抗性高血圧(利尿剤を含む3剤を使用してもコントロール不十分な高血圧)の20%がPA
・non-dipper(夜間血圧非下降)の夜間高血圧、夜間頻尿があり不眠を訴える際にPAを考える
・「高血圧で低カリウム血症」を認めた場合も考える(ただし、低K血症を認めないこともある)
アルカローシスになる機序
・低カリウム血症となると、K+が細胞内から細胞外に移行する。
・すると電気的中性を維持するため、H+が細胞外液から細胞内へ移行する。また、遠位尿細管のNa–K交換部位でも、Kの代わりにH+が排泄されやすくなる。
・その結果、細胞外のH+は減少し、アルカローシスとなる。
スクリーニング
※本邦のガイドラインでは、その頻度の多さから、「高血圧患者全例」にスクリーニングを推奨している
※スクリーニングはPRA、PACを測定し、ARRを算出することで行う
PAスクリーニングを行うべき症例
⓵ 低K血症を伴う高血圧
② 重度の高血圧(収縮期血圧>160mmHg 、拡張期血圧>100mmHg )
③ 降圧薬3剤使用してもコントロール不十分な高血圧
④ 副腎偶発腫を認める高血圧
⑤ 若年高血圧の家族歴、もしくは若年大血管疾患の家族歴のある高血圧
⑥ 第1親等内(父母や子)にPAの家族歴
PRA、PACによるARR算出
・正確な検査のためには、降圧剤の2週間前からの休薬が必要
・ただしコントロール不良例や低K血症の悪化が危惧される症例では、継続のままカットオフ値を変更して結果を解釈することも検討されている。
・NSAIDsも結果に影響を与える可能性がある(PAC、PRAともに低下)
・早朝空腹時、ベッド上安静30分(不可能なら座位安静15分)とって採血
アルドステロン/レニン比(ARR:aldosterone renin ratio)
ARR=PAC (pg / mL) / PRA (ng /mL /h )
PAC:Plasma aldosterone concentration.(血漿アルドステロン濃度)
PRA:Plasma renin activity(血漿レニン活性)
PAC:Plasma aldosterone concentration.(血漿アルドステロン濃度)
PRA:Plasma renin activity(血漿レニン活性)
ARR>200(PACの単位がng/mLの時は>20)、
かつ PAC≧120pg/mLの時、スクリーニング陽性であり、専門医にコンサルト必要
検査
・腹部ダイナミックCT
・副腎静脈サンプリング
治療
・片側性病変は外科的手術、両側性病変は薬物療法(スピロノラクトン、エプレレノン)
注)
・片側に病変が見つかった場合でも、対側に画像検査で検出できない微小腫瘤が存在する可能性が否定できにないため、副腎静脈サンプリングは必要である
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