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原発性アルドステロン症(primary aldosteronism)

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概要

全高血圧患者の5%を占める

・治療抵抗性高血圧(利尿剤を含む3剤を使用してもコントロール不十分な高血圧)の20%がPA

・non-dipper(夜間血圧非下降)の夜間高血圧、夜間頻尿があり不眠を訴える際にPAを考える

・「高血圧で低カリウム血症」を認めた場合も考える(ただし、低K血症を認めないこともある)

 

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アルカローシスになる機序

・低カリウム血症となると、K+が細胞内から細胞外に移行する。

・すると電気的中性を維持するため、H+が細胞外液から細胞内へ移行する。また、遠位尿細管のNa–K交換部位でも、Kの代わりにH+が排泄されやすくなる。

・その結果、細胞外のH+は減少し、アルカローシスとなる。

 

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スクリーニング

・本邦のガイドラインでは、その頻度の多さから、「高血圧患者全例」にスクリーニングを推奨している

・スクリーニングはPRA、PACを測定し、アルドステロン/レニン比(ARR;aldosterone-renin ratio:PAC  / PRA  )を算出することで行う

PAスクリーニングを行うべき症例

⓵ 低K血症を伴う高血圧

② 重度の高血圧(収縮期血圧>160mmHg 、拡張期血圧>100mmHg )

③ 降圧薬3剤使用してもコントロール不十分な高血圧

④ 副腎偶発腫を認める高血圧

⑤ 若年高血圧の家族歴、もしくは若年大血管疾患の家族歴のある高血圧

⑥ 第1親等内(父母や子)にPAの家族歴

 

 

PRA、PACによるARR算出

早朝空腹時、ベッド上安静30分(不可能なら座位安静15分)とって採血
・正確な検査のためには、MR拮抗薬、ブロッカーは4~6週間休薬、その他の降圧薬は2週間前からの休薬が必要
・ただしコントロール不良例や低K血症の悪化が危惧される症例では、継続のまま検査で可。またはCRB、αブロッカーは影響が少ないので、これらに変更を検討
・NSAIDsも結果に影響を与える可能性がある(PAC、PRAともに低下)
アルドステロン/レニン比(ARR:aldosterone renin ratio)
ARR=PAC (pg / mL) / PRA (ng /mL /h )
PAC:Plasma aldosterone concentration.(血漿アルドステロン濃度)
PRA:Plasma renin activity(血漿レニン活性)

ARR≧ 200かつPAC ≧ 60 pg/mLで陽性と判定する。

→ スクリーニング陽性

→ 専門医にコンサルト必要

 

カプトプリル負荷試験

 

・原発性アルドステロン症の機能確認検査の1つ。外来でも実施可能

・ACE(アンギオテンシンⅠをアンギオテンシンⅡに変換)の阻害薬のであるカプトプリル50㎎を内服する

・すると、アンジオテンシンⅡ(副腎皮質からアルドステロンを分泌させる)の産生が阻害される。

・そのため健常人では、レニン分泌に対するアンジオテンシンⅡによるnegative  feedbackがなくなり、レニンの分泌が亢進し、アルドステロンは低下する。

・一方PAでは、アルドステロンが過剰分泌されたままなので、レニンは抑制されたまま、アルドステロンも低下しない。

・カプトプリル負荷試験は、この反応の違いをARR(PAC/PRA比)として算出する。

・陽性判定基準は、カプトプリル50mg負荷後、60分又は90分後の採血で、

ARR>200なら陽性(またはPAC/ARC(活性レニン濃度、pg/mL)比>40、PAC>120 pg/mL)。

 

 

 

検査

・腹部ダイナミックCT

・副腎静脈サンプリング

 

 

治療

・片側性病変は外科的手術、両側性病変は薬物療法(スピロノラクトン、エプレレノン)

注)

・片側に病変が見つかった場合でも、対側に画像検査で検出できない微小腫瘤が存在する可能性が否定できにないため、副腎静脈サンプリングは必要である

・片側副腎病変によりアルドステロン過剰産生と部位診断されたPA症例は、腹腔鏡下内視鏡的副腎摘出術の適応となる。

片側性と診断されても手術不能な場合や患者が手術を望まない場合は、抗アルドステロン薬を主体とした薬物療法が推奨される(推奨度1)。

・両側副腎病変によりアルドステロン過剰産生と部位診断されたPA症例は、抗アルドステロン薬(スピロノラクトン、エプレレノン、エサキセレノン)を主体とした薬物療法が推奨される(推奨度1)。

 

 

 

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