疾患(健診:C判定)
・脂肪肝は「アルコール性」と「非アルコール性」に大別される。
・組織診断、あるいは画像診断で脂肪肝を認め、「アルコール性肝障害」「ウイルス性(HBV、HCVなど)」「自己免疫性肝炎」「原発性胆汁性胆管炎」などの他の肝疾患を除外した病態を『非アルコール性脂肪肝性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease:NAFLD)』という。
・肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などの既往を有することが多く、メタボリックシンドロームの肝病変と捉えられる。
・ただし、肥満でない場合や低栄養性脂肪肝、薬剤性(タモキシフェン、ストロイド、アミオダロンなど)でも起こる
・健診の超音波検査で脂肪肝が指摘された場合は、生活習慣を是正する必要があるので、「C判定」として指導する必要がある。
「アルコール性ではない」飲酒量の目安:
男性 30g/日、女性20g/日未満の場合、「アルコール性ではない」と判断
※ エタノール20g(=1単位=2ドリンク)と同等価のアルコール飲料
日本酒1合
ワイングラス2杯
焼酎25%0.6合(110mL)
缶チューハイ7% 350ml1本
ビール中瓶(500mL)1本
ウイスキーダブル1杯(60mL)
NAFLDの分類
NAFLDは下記の二つに分類される
① NAFL(非アルコール性脂肪肝:nonalcoholic fatty liver)
・NAFLDのうち80~90%
・長い経過をみても脂肪肝のままで、病気はほとんど進行しない。
→ かかりつけ医での生活指導、血液検査と腹部エコーでフォロー
② NASH(非アルコール性脂肪肝炎:nonalcoholic steato-hepatitis)
・NAFLDのうち10~20%
・5年で15%が肝硬変に進展し、肝癌発症の可能あり
→ 専門医へ紹介
・糖尿病治療薬のSU剤とグリニド薬については高インスリン血症をきたし、肝線維化や発癌発症の危険性があるため使用しないこと
NAFLからNASHへの移行の原因
・NAFLDの中で10~20%がこのNASHになり、更にNASHのうち5~20%が5 ~10年の間に肝硬変まで進むとされている。
・そしてNASH肝硬変からの肝がん発生率は5年で最大15%程度とされ、決して低いとは言えない
・同じNAFLDでNASHになる人とならない人、またNASHの中でも肝硬変や肝がんまで進行する人とそうでない人がいるが、その原因は不詳である。
・肥満や糖尿病、脂質異常などでまず脂肪肝になっているところに、内臓脂肪由来の酸化ストレスや遺伝的素因などの複数の要因が絡んでNASHに進展するのではないかと考えられており、『two-hit theory(二段階説)』と呼ばれている。
・またNASHの予後は不変(横ばい)30~50%、改善15~30%、悪化30~40%とされるが、糖尿病、高度肥満、高齢、是正されない生活習慣、採血でAST値が80IU/L以上などが重なると悪化の方向に進みやすいとされる。
非侵襲的肝線維化評価に必要な検査項目
・年齢
・BMI
・糖尿病の有無
・血小板
・AST、ALT
・アルブミン
・M2BPGi
こんな時はコンサルテーション
※ NAFLDの症例で、NSAHあるいは血液検査項目で「肝線維化リスク」がある場合、専門医へ紹介
FBI‐4 index(フィブフォー・インデックス)≧1.3
・「肝臓の線維化の進展度合い」を評価するための血液検査データを組み合わせたスコアリングシステム。
・「AST、ALT、血小板数、年齢」の4項目を組み合わせて計算し、得られた数値から線維化の進展の度合いを評価する。
計算サイト:
NAFLD fibrosis score≧1.45
・年齢、高血糖、BMI、血小板数、アルブミン値、AARを組み合わせて計算し、得られた数値から線維化の進展度合いを評価。
血小板数<14万
M2BPGi 1.0 COI以上
・Mac-2 binding protein glycosylated isomers(Mac-2 結合蛋白糖鎖修飾異性体)
肝線維化の進展にともなって変化するタンパク質上の糖鎖構造をとらえる新しい種類のマーカー
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