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老年症候群、認知機能障害を伴った糖尿病患者に対する治療(内服薬選択、インスリンのステップダウン)

高齢者の糖尿病について(ドック学会専門医試験)

高齢者の糖尿病について:

・高齢者糖尿病における血糖コントロール目標では、患者の認知機能、ADL、併存疾患・機能障害に基づき、健康状態・特徴を カテゴリーⅠからカテゴリーⅢの、3つのカテゴリーに分類している。

・カテゴリー I は認知機能正常でかつADL が自立している.カテゴリー II は軽度の認知障
を有するか、または基本的 ADL は自立しているがIADL が低下している。カテゴリー III は中等症以上の認知症か、基本的 ADL が低下している、または多くの併存疾患や機能障害を有するものとされる。

・重症低血糖が危惧される薬剤(インスリン、SU薬、グリニド薬など)の使用がある場合は、低血糖のリスクがあるため、血糖コントロールの目標 HbA1c は上限値だけでなく下限値の目安も提示されている。

・カテゴリーⅠの65歳以上75歳未満でインスリン療法中の患者のHbA1c下限は6.5%である。

・治療にSU薬を用いる軽度認知症患者(カテゴリーⅡ)の血糖コントロール目標HbA1cは8.0%未満、下限は7.0%である。

 

 

老年症候群患者に対する糖尿病治療

認知機能の評価とカテゴリー分類

・高齢者糖尿病における血糖コントロール目標では、患者の認知機能、ADL、併存疾患・機能障害に基づき、健康状態・特徴を カテゴリーⅠからカテゴリーⅢの、3つのカテゴリーに分類している。

・カテゴリー I は認知機能正常でかつADL が自立している.カテゴリー II は軽度の認知障
害を有するか、または基本的 ADL は自立しているがIADL が低下している。カテゴリー III は中等症以上の認知症か、基本的 ADL が低下している、または多くの併存疾患や機能障害を有するものとされる。

・認知機能のスクリーニング検査として「DASC-8」を行う。

認知・生活機能質問票(DASC-8)

 

・「DASC-8」は「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標」を設定するためのカテゴリー分類を行うのに有効

10点以下:カテゴリーⅠ

11~16点:カテゴリーⅡ

17点以上:カテゴリーⅢ

 

 

治療の単純化

・薬剤数や回数を減らし、1日1~2回(可能ならば1日1回)に留める

・服薬のタイミングを統一する

・可能な限りインスリン治療は避ける

 

インスリン注射の単純化

・どうしてもインスリンが不可欠な場合は、1日1回の基礎インスリン補充療法(持効型インスリン)を選択する

例)

デグルデグ(トレシーバ®):作用持続時間42時間超

・DPP-4阻害薬などの経口薬を併用し、インスリン単位数を減らす

・インスリン量は、血糖が一番低くなっても低血糖にならない量を選択する

 

低血糖、フレイル対策

・認知機能が低下した高齢者で比較的安全に使用できるのはDPP-4阻害薬

・DPP- 4阻害薬の中では、リナグリプチン(トラゼンタ®)とシタグリプチン(ジャヌビア®、グラクティブ®)は心不全などの併存疾患を有する高齢者への有効性が検証されている

週1回のGLP-1受容体作動薬(デュラグルチド:トルリシティ―®)も有効

 

寝たきり高齢者で使える薬剤

超高齢社会におけるかかりつけ医のための適正処方の手引き(日本医師会)

 

寝たきり高齢者でも使用しやすい薬:

DPP-4阻害薬(第一選択)

低血糖が少なく、高齢者で使いやすい 。食事摂取量が不安定でも使用可能。

メトホルミン:食事量が保てて腎機能が許せば使用可能。腎機能低下や脱水には注意が必要。

SGLT2阻害薬:心不全や腎保護が期待される。飲水不足や発熱があるなら投与は慎重に考慮する。脱水や尿路感染の危険性がある。使う価値があるのは、飲水が保てて、腎機能や全身状態が比較的安定している場合。

GLP-1受容体作動薬:週1回製剤を含め選択肢になる。食欲低下や体重減少が目立つ寝たきり高齢者では慎重に使います 。

 

 

 

① 第1選択→DPP4阻害薬

・高齢者ではDPP4だけの処方のことも多い

・トラゼンタ(リナグリプチン)は腎機能障害で投与量を調整することなく処方可能

 

① ジャヌビア®(シタグリプチン)

・腎代謝

・ジャヌビア®(50) 1~2T 1×朝食後

 

② トラゼンタ®(リナグリプチン)

・肝代謝(胆汁排泄型)

・腎機能障害に処方可能

(腎機能障害時でのfirst choice)

・心不全などの併存疾患を有する高齢者への有効性が検証されている

トラゼンタ®(5mg) 1T 1×朝食後

 

第2選択

少量メトホルミン

・メトホルミンはeGFRを用いて定期的に腎機能を評価しながら使用する。eGFRが30mL/分/1.73m2
未満の場合には禁忌であり、eGFRが30~45mL/分/1.73m2の場合にはリスクとベネフィットを勘案し
て慎重に投与する。
75歳以上の高齢者では慎重投与であるが、腎機能が保たれていれば使用可能である(基本的には75歳以上の高齢者へのメトホルミンの新規導入は避ける)。

・高齢者であっても禁忌ではないが、慎重、少量投与(250mg/日でも効果示す)

1錠~2錠程度

・インスリン抵抗性が問題になる症例

・eGFR<30では禁忌。中等度腎機能障害では、腎機能に応じた減量を要する。

 

SGLT-2阻害薬

eGFR30mL/分/1.73m2未満の場合は中止し、eGFR45mL/分/1.73m2未満の場合は血糖降下作用が
減弱するため、慎重に投与する。

・脱水、性器感染症、尿路感染症、ケトアシドーシスなどに注意しながら使用する

・口渇訴え可能、認知機能や身体機能が保たれた2型糖尿病患者で使用する

・カテゴリーⅢ、中等度以上の認知症や低栄養状態では控える

例)

・ジャディアンス®( エンパグリフロジン) 10mg / 25mg

2型糖尿病、慢性心不全、慢性腎臓病

1日1回10mg(10mg錠)を服用。効果不十分な場合は25mg(25mg錠)へ増量可能。

<2型糖尿病>
通常、成人にはエンパグリフロジンとして10mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら25mg1日1回に増量することができる。
<慢性心不全、慢性腎臓病>
通常、成人にはエンパグリフロジンとして10mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。

 

 

・フォシーガ®(一般名:ダパグリフロジン)5mg / 10mg

2型糖尿病、慢性心不全と慢性腎臓病にも適応があり、心臓・腎臓の保護を重視するときに選びやすい

2型糖尿病:通常、成人にはダパグリフロジンとして5mgを1日1回経口投与する
なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら10mg1日1回に増量することができる
慢性心不全、慢性腎臓病:通常、成人にはダパグリフロジンとして10mgを1日1回経口投与する

 

 

・スーグラ®(イプラグリフロジン)25mg / 50mg

 

 

GLP-1受容体作動薬

・週1回注射

・デュラグルチド:トルリシティ―®

 

 

 

最終手段

少量SU剤

・肝機能障害や腎機能障害、特に高齢者では遷延性低血糖のリスクがあることから慎重に検討する(※ 基本的に高齢者ではSUの代わりにグリニドを使用する方がよい)。

・SU薬の中ではグリクラジド(グリミクロン®)は他のSU薬と比較して重症低血糖のリスクが少ないといわれている(高齢者にSU薬を投与する場合にはグリグラジドを選択)

例)

・グリクラジド(グリミクロン®:第2世代)

10㎎ 1日1回朝から開始(夜間低血糖を避けるため)、最大20㎎

1日1~2回(朝、夕食前または食後)

 

・グリメピリド(アマリール®)

0.5T 1×朝食後

 

グリニド(速効型インスリン分泌促進薬)

・イメージ的には「速効型インスリン製剤の内服版」

・作用発現は服用後30分以内で、約60分で効果最大となり、作用発現時間は3~4時間。

・ターゲットは「食後高血糖の改善」

・食後高血糖主体の2型糖尿病に良い適応がある。

 

処方例
・レパグリニド(シュアポスト®)

1日0.75mg~1.5mg(分3、毎食直前)

 

インスリン

・DPP4阻害薬だけでは血糖が高すぎる時に併用(毎日でなくてもよい)

・持効型溶解インスリン(インスリンデグルデグ)

1日1回、または隔日など

・混合型1日2回など

 

持効型インスリンとGLP-1受容体作動薬の配合剤

 

 

 

インスリンのステップダウン

1.まずは「持効型溶解インスリン」1日1回打ちへの移行
・血中濃度のピークがないのは「トレシーバ」「ランタスXR」

2.週1回のDPP4阻害薬内服

随時血糖が300㎎/dLを超えるなら、
GLP-1受容体作動薬「トルリシティ―(デュラグルチド)」
週1回注射

 

 

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