重症薬疹のサイン
皮疹に加え、「発熱」「倦怠感」「粘膜疹」を合併する場合は重症薬疹の可能性を考える
3大薬疹
1)AGEP(acute generalized exanthemotous pustulosis)
急性汎発性発疹性膿胞症
2)SJS(Stevens-Johnson syndrome) / TEN(toxic epidermal necrolysis)
皮膚粘膜眼症候群 / 中毒性表皮壊死症
3)DRESS(Drug reaction with eosinophilia and systemic symptoms)
/DISH(drug -induced hypersensitivity syndrome)
好酸球増加および全身症状を伴う薬剤反応 / 薬剤性過敏症症候群
各論
1)AGEP(acute generalized exanthemotous pustulosis)急性全身性発疹性膿胞症
急性汎発性発疹性膿胞症
・無菌性の小水疱~毛根に一致しない小膿疱が全身に分布する
・抗菌薬投与後数日で発症
・高熱、好中球増多を伴う
・僅かな隆起とやや癒合傾向を伴う皮疹で、膿胞を合併する。
・治療:被疑薬の中止。ステロイド外用
2)SJS(Stevens-Johnson syndrome) / TEN(toxic epidermal necrolysis)
皮膚粘膜眼症候群 / 中毒性表皮壊死症
・高熱や全身倦怠感などの症状を伴って、口唇・口腔、眼球結膜、外陰部などの皮膚粘膜移行部を含む全身に紅斑、びらん、水疱が多発し、表皮の壊死性障害を認める。
・薬剤投与から1~3週間後に発症することが多い
・全身に大小さまざまな滲出性紅斑、水疱を有する紅斑~紫紅色斑が多発散在する。非典型的ターゲット(標的)状紅斑の中心に水疱形成がみられる。
・また、口唇・口腔粘膜、鼻粘膜には発赤、水疱が出現し、血性痂皮を付着するようになる。
・眼では眼球結膜の充血、偽膜形成、眼表面上皮(角膜上皮、結膜上皮)のびらん(上皮欠損)などが認められ、重篤な眼病変では後遺症を残すことが多い。
・時に上気道粘膜や消化管粘膜を侵し、呼吸器症状や消化管症状を併発する。
・SJSの本邦の診断基準では、
水疱、びらんなどの表皮剝離体表面積が
10%未満:SJS
10%以上30%未満;SJS/TENオーバーラップ症候群
30%以上の場合;TEN(toxic epidermal necrolysis)
・治療:被疑薬の中止、ステロイド全身投与、免疫グロブリン大量投与
3)DRESS(Drug reaction with eosinophilia and systemic symptoms) /DISH(drug -induced hypersensitivity syndrome)
好酸球増加および全身症状を伴う薬剤反応 / 薬剤性過敏症症候群
・内服開始始から発症までに時間がかかるのが特徴で、多くは3~4週間で発症する(なかには1年以上たって発症することもある)。
・また薬剤を中止しても2週間程度は症状が遷延する場合があり、この場合は被疑薬の特定は困難である
・抗てんかん薬(カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、ゾニサミド)、アロプリノール、抗菌薬(ミノサイクリン、ST合剤)、ジアフェニルスルフォン,メキシレチンが原因となる。
・発熱、麻疹様の紅斑を伴う全身の播種状紅斑丘疹、臓器障害、リンパ節腫脹、顔面や手足の腫脹
・顔面の皮疹の特徴として、眼瞼周囲を避けるように顔面全体にびまん性の淡紅色紅斑を認める
・皮疹の多くは全身の紅皮症に移行する
・検査:
白血球増多、好酸球増加、異形リンパ球の出現
肝機能障害
腎機能障害
・糖尿病、脳炎、肺炎、甲状腺炎、心筋炎も発症しうる
・本症の殆どの例においてヒト6型ヘルペスウイルス(HHV-6)の再活性化が認められる。
・発熱と、痒みのある紅い斑で発症することが多く、リンパ腺が腫れ、白血球増加を認める。
・発疹は圧迫部では融合する傾向が強く、紅斑は出血が混じるため鮮紅色~紫紅色調となる。
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