抗リン脂質抗体症候群とは
・抗リン脂質抗体(aPL)には「抗カルジオリピン抗体」「ループスアンチコアグラント」「ワッセルマン反応(STS)偽陽性」などが含まれる。
・これらの抗体を有し、臨床的に動・静脈の血栓症、血小板減少症、習慣流産・死産・子宮内胎児死亡などをみる場合に抗リン脂質抗体症候群(APS)と称せられる。
・抗リン脂質抗体は、後天性の血栓傾向の一因であり、欧米人では動脈血栓と静脈血栓の比はほぼ等しいが、日本人では動脈血血栓が圧倒的に多い(特に若年者の脳梗塞では鑑別疾患に考慮する)。
・SLEなどの膠原病や自己免疫疾患で認められることが多いが(続発性)、原発性もある。
・ループスアンチコアグラントは主にIgGに属する自己抗体である。
・凝固系カスケードの中で、Ⅹ、Ⅴ、Ca、リン脂質からなるprothrombin activator complexに作用し、リン脂質依存性の血液凝固反応を阻害するため、APTTの延長をきたす(PTは正常)
(理由:APTT法の試薬成分であるリン脂質が、血液中の抗リン脂質抗体の1つであるループスアンチコアグラントに結合し、凝固反応を抑制するためAPTTが延長する)
症状
・抗リン脂質抗体は、動静脈血栓症、自然流産・習慣流産・子宮内胎児死亡、血小板減少症などと相関する。
・また、クームス抗体陽性をみる自己免疫性溶血性貧血やEvans症候群をみることもある。
・これらは、SLEや自己免疫疾患に限らず幅広い疾患にまたがって認められる。
・急速に多発性の臓器梗塞を来すcatastrophic APSでは、強度の腎障害、脳血管障害、ARDS様の呼吸障害、心筋梗塞、DlCなどの重篤な症状をみる。
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