疑う病歴
・数か月前に遡っての歯科治療歴
・弁膜疾患
・先天性心疾患
・人工弁
・感染性心内膜炎の既往
・中心静脈ライン
・血液透析
症状
・発熱(不明熱の鑑別疾患)
・新規発症、あるいは増悪する心雑音
・心不全症状(弁破壊、腱索断裂による)
・体重減少
・塞栓症(脳塞栓、腎梗塞、脾梗塞(左腰痛)、腸腰筋膿瘍など)
・末梢塞栓症状(→後述)
・化膿性関節炎
末梢塞栓症状
1.爪下線状出血:指腹からペンライトを当てて観察
2.Janeway病変:指尖、手掌、足底の無痛性(じぇーんじぇーん痛くない)の数mm程度の小赤色斑(出血斑;血管現象)
(↔有痛性のものはOsler結節)
3.Osler結節:指尖、手掌、足底の有痛性皮下結節(血管炎;免疫学的現象)
4.palpable purpura:盛り上がりのある紫斑
5.眼瞼結膜点状出血
6.眼底Roth斑
円形または卵形で白い小さな中心を持つ網膜出血性梗塞病変
7.口腔粘膜点状出血
起炎菌
急性(数時間~数日単位で進行)
・黄色ブドウ球菌
皮膚バリア破綻(アトピー性皮膚炎)
違法薬物注射
細胞性免疫不全
・肺炎球菌
・A群β溶連菌
・Streptococcus agalactiae(B群連鎖球菌)
亜急性(数週~数か月単位で進行)
・緑色連鎖球菌:口腔内常在菌。歯科処置との関連
・HACEK
・CNS
検査所見
・心臓超音波検査
・血培(最低2セット、できれば3セット)
・尿グラム染色:陽性球菌の場合、感染性心内膜炎の黄色ブドウ球菌やCNSの菌血症の場合がある
・化膿性関節炎があれば、関節穿刺しグラム染色、培養提出
治療
血培採取後の経験的治療
① 日単位で悪化、または弁置換術後1年以内の場合
・VCM 1回15mg/kg 12時間毎
+セフェピム(CFPM)1回2g 8時間毎
※弁置換1年以内では
GM 3㎎/kg1日1回
+リファンピシン450~600㎎ 1日1回内服を併用(GMは初期2週間)
② 週単位で悪化する場合
・VCM 1回15mg/kg 12時間毎
+アンピシリン・スルバクタム 1回3g 6時間毎
③ 弁置換後1年以上の場合
・VCM 1回15mg/kg 12時間毎
+CTRX 1回2g 24時間毎
治療効果判定、治療期間
※「治療開始日」は抗菌薬投与開始日ではなく、『血液培養が陰性となった日を1日目』とする
・血培が陰性化するまでは1~2日毎に血培を繰り返す
・治療期間は起因菌により定まった期間があるため、起因菌を確認する必要がある
・MSSAでは血培陰性確認日から6週間の抗菌薬治療が推奨される(合併症によるさらに長期になる可能性がある)
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