特定健康診査
・実施年度中に40歳〜75歳となる者で、公的医療保険加入者全員を対象とした保健制度。
・一般には『メタボ健診』といわれている。
・「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づいて実施される。
・医療費の高騰の原因の一つとされる、糖尿病などの生活習慣病の医療費抑制が目的。
・なお、75歳以上の後期高齢者医療制度加入者は、後期高齢者医療広域連合からの委託にもとづき、国民健康保険の実施する特定健康診査と同様の健診が受診できる。
検査内容
特定健診の基本的な項目
・標準的な質問票(咬んで食べる時の状態)
・既往歴(服薬歴、喫煙習慣を含む)
・自他覚症状(理学的所見)
・身長・体重・腹囲・BMI
・血圧
・肝機能(AST (GOT)、ALT(GPT)、γ-GT(γ-GTP))
・脂質(トリグリセライド、HDLコレステロール、LDLコレステロールまたはNon HDLコレステロール)
・血糖(空腹時血糖またはHbA1c)
・尿糖・尿たんぱく
詳細な健診の項目(基準に該当し医師が必要と認めたものに対し選択して実施する項目)
・心電図
・眼底
・貧血
・クレアチニン(eGFR)
検査の注意点
・LDL-Cの直接測定法も可
・TG400㎎/dL以上や食後採血(食事開始から3.5時間未満)の場合は、原則としてnon-HDL-Cを用いて評価する
「一般健診」と「特定健診」、どちらを受ければよい?
・一般健診には特定健診の受診項目が含まれているため、会社員の方は40歳以降も一般健診(定期健康診断)を受けていれば特定健診を受けたことになり、特定健診を別途受ける必要はありません。
・また健康保険組合等は常時雇用している従業員の扶養者に対しても特定健診を実施する義務があることから、会社員の扶養となっている40歳以降の方(妻や夫)は、夫または妻の勤務先が実施する特定健診を受診します。
・自営業・個人事業主など国民健康保険に加入している方は、一般健診を受ける機会がないため、40歳以降は自治体等が実施する特定健診を受診しましょう。
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特定保健指導
・特定保健指導とは、特定健康診査の結果、生活習慣病の発症リスクが高いと判断された方を対象に行う保健指導のことです。保健師や管理栄養士などの専門スタッフが、生活習慣を改善できるようにサポートを行います。
・2008年4月から、医療保険者には、特定健康診査と特定保健指導を実施することが義務付けられました。
・メタボリックシンドロームのリスク数に応じて、メタボリックシンドロームの人には「積極的支援」、その予備群には「動機付け支援」、それ以外の受診者には「情報提供」が行われます(よりリスクが高い方が「積極的支援」)。
・なお特定保健指導の基準は、学会のメタボリックシンドロームの基準とは少し異なっています。
![](https://drgawaso.com/wp-content/uploads/2019/02/chart.png)
ステップ 1
・腹囲 男性 85cm以上、女性 90cm以上の方・・・・・・・・・・(1)
・腹囲 男性 85cm未満、女性 90cm未満で、BMI 25以上の方・・(2)
↓
ステップ 2
①血糖:空腹時血糖100mg/dL以上* 又はHbA1c 5.2% 又は薬の治療を行っている
②脂質:中性脂肪150mg/dL以上 又はHDLコレステロール40mg/dL未満 又は薬の治療を行っている
③高血圧:収縮期血圧130mmHg以上 又は拡張期血圧85mmHg以上 又は薬の治療を行っている
④喫煙歴あり(①から③のリスクが1つ以上の場合のみカウント)
↓
ステップ 3
ステップ1,2から保健指導対象者をグループ分け
(1)の場合 ①~④のリスクのうち追加リスクが
2個以上の方は 積極的支援レベル
1個の方は 動機づけ支援レベル
0個の方は 情報提供レベル の対象となります。
(2)の場合 ①~④のリスクのうち追加リスクが
3個以上の方は 積極的支援レベル
1又は2個の方は 動機づけ支援レベル
0個の方は 情報提供レベル の対象となります。
↓
ステップ 4(特定保健指導における例外的対応等)
・服薬中の方は、医療保険者による特定保健指導の対象となりません。
・前期高齢者(65歳以上75歳未満)の方は、積極的支援の対象となった場合でも動機づけ支援の対象となります。
<情報提供レベル>
<動機付け支援>
内臓脂肪型肥満Aでリスクが1つ、内臓脂肪型肥満Bでリスクが1つ~2つ
生活習慣を振り返り、ライフスタイルにあった目標を設定し、実行に移せるようなきっかけ作りを、保健師等がお手伝いします。
【初回】個別面談またはグループ学習
【3ヵ月後】生活習慣改善状況などを伺います(電話、手紙、FAX)
【サポート方法】
20分以上の面談で生活習慣の改善についてご一緒に考えます。
3ヵ月後に生活習慣のご様子や腹囲・体重などを伺います。
<積極的支援>
・内臓脂肪型肥満Aでリスクが2つ以上、内臓脂肪型肥満Bでリスクが3つ以上
・生活習慣を振り返り、ライフスタイルにあった目標を設定し、実行を続けられるように保健師等が継続的にサポートいたします。
【初回】個別面談またはグループ学習
【3ヵ月以上】個別に面談、電話、手紙、FAXで継続サポート
【3ヵ月以上経過】生活習慣改善状況などを伺います(電話、手紙、FAX)
【サポート方法】
20分以上の面談で生活習慣の改善についてご一緒に考えます。
その後、数回のご連絡を取り合いながら、生活習慣の改善をサポートします。
3ヵ月以上経過後に生活習慣のご様子や腹囲・体重などを伺います。
THPと特定保健指導の違い
• THPが特定保健指導の対象外である40歳未満の者や所見のない者も対象とし、メンタルヘルスを含めた健康指導を実施する。
・一方、特定保健指導は40-歳以上の有所見者のみ対象に応じた保健指導を実施する。
・対象者の違いを除いては、両者の実施内容は重なっている。
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