騒音環境に対する作業環境改善策を大きく分けて3つ
→防振、制振といった騒音発生源のメンテナンス、遮音板や防音シートによる遮蔽、指向性の改善です。
・騒音の管理区分3であったときに誰にどのような対応を求めるか
→まず、騒音発生源の設備や作業工程、作業方法の点検を事業者を通じて担当者へ依頼します。
改善が難しい場合は環境測定士などの作業環境管理専門家へ意見聴取を行います。(作業環境管理専門家とが、第1種作業環境測定専門家、オキュペイショナルハイジニストなどです。経験年数も要件として挙げられています)
改善可能な場合は、措置の実施後に再度環境測定を行い結果を評価します。
また、イヤーマフ、耳栓などの保護具着用が適切にできているかを自ら巡視し確認したり、保護具着用管理責任者へ聴取したりします。
該当作業に従事していた作業者の特殊健康診断受診を継続し、今回と前回で聴力に差が出ていないか確認する必要もあります。
作業環境管理専門家の要件
・改正された騒音障害防止ガイドラインで知っていることは?
→4つほど挙げられます
① 騒音障害防止対策の管理者選任です。
管理者を選任し、組織的にガイドラインに基づく対策を実施します。
② 聴覚保護具の選定基準が明確化されました。
JIS T8161-1に基づき測定された遮音値を目安とし必要かつ十分な遮音値のものを選定するようになっています。
③ 騒音レベルの新しい測定方法が追加されました
85dB以上の場合は騒音源を遮蔽、低騒音化などの改善措置を図り、測定は6か月ごとに1回行います。また、作業工程が変わればその都度測定を実施し記録を3年保存します。
④ 騒音健康診断の検査項目の見直しです。
定期健康診断(騒音)における4000Hzの聴力検査時音圧が40dB→25および30dBへ変更されました。
雇い入れ時や配置替え時、定期健康診断(騒音)の2次検査で6000Hzの検査が追加されました(もともとは1000Hzと4000Hz)
・騒音性難聴はどんな音でおこるか?
→騒音性難聴は初期には4000Hz付近の聴力が特異的に低下する(C5dip)が見られます。
・騒音障害防止のための対策を教えてください。
→3管理で対策をします。作業環境管理として、防振・制振をして騒音発生源の除去や低減をはかれないかを検討します。遮音板や防音シートで遮蔽するなど騒音の伝播防止対策も検討します。また発生源を音が響く場所から移動させるなど騒音の指向性改善も有効な場合があります。作業環境測定を6か月以内ごとに1回行い、騒音の管理区分に応じて環境調整します。
作業管理として、作業者の作業時間の制限、適切な聴覚保護具の使用、作業手順書の整備・周知などをします。健康管理としては、騒音特殊健診を雇い入れ時や配置換え時、6か月以内ごとに行います。
・騒音のA特性について
→人間が聴覚可能な範囲の周波数に重みづけをしたものです。同じ音圧でも周波数が変われば 感じ方が異なってきます。
人間の耳の感度は1000Hz前後の周波数でもっとも高くなり、一方で周波数の低いところや、1000Hzよりも更に高い周波数では感度が悪くなるという特徴があります。
このような感覚を考慮し、重みづけがされたのがA特性になります。一般的に騒音レベルを計測するときは、このA特性を使用することが多いです。
・コストをかけられない事業所にはどのように騒音対策を促しますか?
→発生源を地に固定するなどの振動対策を行えば騒音も減ります。
(試験官から直接指導を受けた解答ではありますが、個人的にはほかにもっとしっくりくる解答があるような気がしています)
・コンクリート作業を例に出され、騒音障害防止対策を行いたいと言われたらどのようにアドバイスする?
→騒音の3管理は行いますが、移動しながらの作業であれば個人ばく露測定が必要です。
・個人ばく露測定はどう行う?
→作業者に測定装置を装着し、等価騒音レベル(80dB以下は含めない)をもとにC測定、D測定を行います。
A測定、B測定と概念は変わりませんが、C測定では5人以上でサンプリングを行い、CDどちらも15分以上測定します。
A(C)測定平均値、B(D)測定値がどちらも85dB未満であれば第1管理区分、どちらかが90dB以上であれば第3管理区分となります。
・第3管理区分と判断された場合は?
→騒音の3管理を実施します。
すでに実施済みの場合は、適切に実施できているか再度確認し、再度環境測定を行って管理区分が改善されているか評価します。
現状以上の改善余地がなければ、環境測定士などの作業環境管理専門家へ意見聴取します。
・事業者から午前4時間90db、午後4時間は70dbで計80dbだから問題ないですよねと言われたら?
騒音障害防止ガイドラインの「騒音レベルによる許容基準(概要版)8時間を前提としたもの」では、4時間の作業では88dBまでとなっているので午前4時間90dBは改善の必要があります。
・1時間でも90dB超えてたら問題ですか?
→騒音障害防止ガイドラインの「騒音レベルによる許容基準(概要版)8時間を前提としたもの」では、1時間のみの作業であれば94dBまで許容されます。
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