疾患
・PFAPA(Periodic fever with aphthous stomatitis,pharyngitis,and adenitis syndrome:周期性発熱・アフタ性口内炎・咽頭炎・リンパ節炎症候群)の略
・PFAPAは、周期性発熱(Periodic Fever)、アフタ性口内炎(Aphthous Stomatitis)、咽頭炎(Pharyngitis)、頚部リンパ節炎(Adenitis)を主症状とし、主に幼児期に発症する、非遺伝性の自己炎症性疾患です。
原因
・病因・病態は殆ど解明されておらず、他の多くの自己炎症性疾患と異なり、明らかな遺伝性も認められません。
・サイトカイン調節機能異常が関与する
・遺伝学的原因は確定していないが,本症候群は遺伝性発熱症候群に分類される傾向がある。
・典型的には5歳以下の乳幼児期の多い。
・患者の50~75%に扁桃炎が認められる。反復性扁桃腺炎と診断され、扁桃摘出術を受けた小児の20~30%がPFAPAであったとの報告があります。
・成人発症も散見される
・臨床像は不均一
・基本的に予後は良好であり、通常4~8年程で治癒し、成長・発達障害を認めません。
症状
・4週間ごとに3~6日間続く周期性発熱発作が主症状であり、アフタ性口内炎、咽頭炎、頸部リンパ節炎などの随伴所見の幾つかを認めます。
・発作は3~8週間毎に繰り返し、間欠期には全く無症状です。
・発熱発作が3~6日続き,約28日毎に反復する。本症候群では,発熱,咽頭炎,アフタ性潰瘍,およびリンパ節腫脹のほか,疲労,悪寒,ならびにときに腹痛および頭痛が起こる。発作と発作の間は健康であり,成長は正常である。
診断
・診断は、反復性扁桃腺炎をはじめとした他疾患の除外が最も重要
検査
・発熱発作時に、炎症を反映して、好中球有意の白血球増加、赤沈亢進、CRP上昇、血清アミロイドA(SAA)上昇などがみられますが、これらの検査所見はPFAPAに特徴的なものではありません。
・また画像診断による診断もできません。
・症状からPFAPA症候群を疑い、さらに、周期性好中球減少症、反復性扁桃腺炎などの感染症、その他の自己炎症疾患、ベーチェット病などの病気と鑑別する必要があります。
診断基準
診断基準には1994年発表「Thomasの診断基準」が主に使われていますが、2005年に発表された「Paderの診断基準」はステロイドへの反応性を含めた臨床的な内容となっており、この2つを併用して除外診断と確定診断を行っていきます。
PFAPAの診断基準(Thomasの診断基準:1999年)
I. 5歳までに発症する、周期的に繰り返す発熱
II. 上気道炎症状を欠き、次のうち少なくとも1つの臨床所見を有する
a) アフタ性口内炎
b) 頸部リンパ節炎
c) 咽頭炎
Ⅲ. 周期性好中球減少症を除外できる
IV. 間欠期には全く症状を示さない
V. 正常な成長、精神運動発達
Paderの診断基準
1:毎月の発熱(いかなる年齢においても周期性の発熱がある)
2:滲出性扁桃炎かつ咽頭培養で陰性
3:頸部リンパ節炎
4:ときにアフタ性口内炎
5:発作間欠期は完全に無症状
6:ステロイドの単回使用(プレドニゾロン60mg)で速やかに改善する
※ステロイドの投与量については年齢ごと、体重ごとの考慮が必要です
識別が必要な疾患
1:他の自己炎症疾患との識別(FMF、TRAPS、HIDSとの識別が必要)
2:周期性好中球減少症
3:全身型若年性突発性関節炎
・ベーチェット病
・再発性アフタ性口内炎
・クローン病
・感染症
・習慣性扁桃腺炎
など
治療
・特異的な治療法はない。
・発作時:ステロイド、NSAIDs
・予防:コルヒチン、シメチジン
・有効性が最も高いのは発作時の副腎皮質ステロイド剤の投与ですが、発作間隔を短縮し、次の発作が早く発来したり、発熱以外の症状が残存する場合が有るなどの問題もあります。
・有熱期間の短縮効果としてヒスタミンH2受容体拮抗薬である シメチジン、ステロイド、扁桃摘出術などが考慮される。
・内科的治療に抵抗する症例には扁桃摘出術が行われ、高い有効性(寛解率70~80%)が示されています。
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