参考サイト:
症状から考えるべき感染症(日本感染症学会)
「発熱+皮疹」時の7つのキラー疾患 ”SMARTTT”
最低限、これだけは見逃すな!
SMARTTT
S: sepsis(敗血症)
M:meningococcemia(髄膜炎)
A:acute endocarditis(急性心内膜炎)
R:Rickettsia(リケッチア感染症)、Rocky mountain spotted fever(ロッキー山紅斑熱)
T:toxic erythema(中毒性紅斑:TSS(毒素性ショック症候群)、SSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群))
T:toxic epidermal necrolysis(TEN:中毒性表皮壊死症)
T:travel-related infection (旅行感染感染症)
毒素性ショック症候群(toxic shock syndrome; TSS)
疾患
・黄色ブドウ球菌により大量に産生されるtoxic shock syndrome toxin-1(TSS-1)と呼ばれる菌体外毒素(exotoxin)が原因。黄色ブドウ球菌はこのTSS-1以外にも15種類の異なる毒素を産生することができるとされている。
・レンサ球菌によるものをSTSS (streptococcal toxic shock syndrome)と称する。
発生頻度:発症率0.03/10万人/年(英国のデータ)
感染経路
・月経用タンポン使用時に伴うものが有名。術後感染症として生じることもある。
・黄色ブドウ球菌の人体への定着あるいは感染→毒素の産生→毒素の体内への吸収→中毒症状の発症
潜伏期間・主要症状・検査所見
・突然発症で、高熱、低血圧、びまん性斑状紅皮症を認める。
・症状は急速に進行し、嘔吐、下痢、錯乱、筋肉痛、腹痛を呈するようになる
・これらの症状は肝臓、腎臓、消化管、中枢神経系などの多くの臓器を障害する特性を示している。
・レンサ球菌の場合は黄色ブドウ球菌と異なり、軟部組織に感染症が存在する。
予後
・黄色ブドウ球菌による致死率は5%前後。レンサ球菌による致死率は50%程度
診断
・黄色ブドウ球菌は血液培養から検出されないことが多い一方で、レンサ球菌は軟部組織感染に合併し検出されやすい。
・培養検体はすべての病変、鼻腔、咽頭、膣、および血液から採取する。
治療
・TSSが疑われる患者は直ちに入院させて、集中治療を行う。
・輸液療法、呼吸、循環動態の支持が必要である。
・タンポン、ペッサリー、その他の異物は速やかに除去する。
・一次感染が疑われる部位に対して、洗浄、ドレナージ、壊死組織のデブリドマンを行う。
・培養結果が出るまでは、バンコマイシン、ダプトマイシン、リネゾリドを投与する。
・毒素抑制のためにクリンダマイシンを併用することも多い。
・静注用ヒト免疫グロブリン(IVIG)の有用性も示唆されている。
専門施設に送るべき判断
診断した(疑った)場合は全例三次医療機関(救命救急センター)へ転送が必要
TEN(toxic epidermal necrolysis:中毒性表皮壊死症)の原因 ”SNAP”
S:sulfonamides
N:NSAIDs
A:alloprinol(ザイロリック®)
P:phenytoin(アレビアチン®)
コメント