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アナフィラキシー(ショック): 診断基準と救急対応

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アナフィラキシーの定義と診断基準(アナフィラキシーガイドラインより)

定義

・アナフィラキシーとは、アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性アレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応である。

・アナフィラキシーに血圧低下や意識障害が伴う場合を「アナフィラキシーショック」という。

 

診断基準

※皮膚症状を伴わない場合が10~20%あり

診断基準

参照:https://www.jsaweb.jp/modules/stwn/index.php?content_id=7

 

血圧の目安

・橈骨動脈が触れる → SBP 80mmHg以上

・大腿動脈が触れる → SBP 70mmHg以上

・総頚動脈が触れる → SBP 60mmHg以上

参考:「血管迷走神経反射」と「アナフィラキシーショック」の鑑別点

・最も簡便な鑑別方法としては、頻脈の有無がよい。血管迷走神経反射の場合は、当初は徐脈状態であることが多い。それに対して、アナフィラキシーショックの場合は当初から頻脈を呈していることが多い
アナフィラキシーでは「皮膚粘膜症状」を伴いやすい発赤や掻痒を伴う場合はアナフィラキシーを疑う
・アナフィラキシーでは皮膚症状、特に膨疹あるいは丘疹等の皮膚症状が出ているというのが大きな違いになる
・分からなければ対応は同じ(仰臥位にして下肢挙上、アドレナリン打ってもよい(血管迷走神経反射に打っても重篤な副作用はなないと言われている)
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重症度分類

・重症度に応じた速やかな対応が必要。

・特に重症度グレード2~3にかけてはエピペンを使用するタイミングになる。

 

【グレード1】

各症状は部分的で軽度の段階で、慌てる必要はありません。

症状の進行に注意を払いつつ、安静にして経過を追います。

 

【グレード2】

全身性の皮膚および強い粘膜症状に加え、呼吸器症状や消化器症状が増悪してきます。医療機関を受診する必要があり、処方された「エピペン®」があれば、注射することを考慮します。

 

【グレード3】

強いアナフィラキシー症状といえます。

プレショック状態(ショック状態の一歩手前)もしくはショック状態と考え、緊急に医療機関を受診する必要があります。

救急の現場に子どもに処方された「エピペン®」があれば速やかに注射する必要があります。

 

参照(このサイトより引用):https://www.businessclinic.tokyo/recommend/epipen

 

 

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治療

酸素投与(マスク6L)

 

下肢挙上

 

急速大量輸液

・リンゲル液(ラクテック®など:生理食塩水にカリウムやカルシウムを加えたもの)

・最低1000mLは全開で

SBP≧90mmHgを目標

 

アドレナリン(ボスミン)

・喉頭浮腫、喘息、ショック、下痢・腹痛時がある時に施行

・0.3㎎(0.3ml)大腿外側に筋注(小児では体重kg当たり0.01mg)

・効果がなければ、5~15分毎に2回繰りかえす

・2回筋注で無効の場合

薬剤:

・エピペン注射液0.3㎎ 大腿外側部に筋注

・ボスミン(1mg/1mL/A)0.3mg 大腿外側部に筋注

 

※ β遮断薬、α遮断薬、ACE阻害薬を内服中の場合

グルカゴン1㎎静注または筋注を5分毎に繰り返す

(グルカゴンを最初から使用しない。必ずアドレナリンの投与後に使用する)

 

大量輸液

・SBP≧90㎜Hg目標に、リンゲル1000mlを30分毎(総量2~3L必要)

 

抗ヒスタミン薬

・H1 blocker(ポララミン5mg)+H2 blocker(ザンタック50㎎)を生食50mlに溶いて点滴静注

 

ステロイド(後期反応抑制効果)

中等症以上で投与

・ソル・コーテフ(ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム)500㎎

生食50mlに溶いて点滴静注

または

・ソル・メドロール(メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム)

125㎎

 

気管支拡張薬吸入

ベネトリン0.5ml+生食5mlネブライザー吸入

 

エピペン

製 品(0.3mg製剤、0.15mg製剤)

• エピペン注射液0.15mg:1管2mL中アドレナリン1mg
• エピペン注射液0.3 mg:1管2mL中アドレナリン2mg
※薬液は両規格とも1回0.3mL注入される

 

用 量

成人

体重30㎏以上

0.3mg 製剤を使用

 

小児

体重15㎏以上30㎏未満

体重に応じて 0.15mg 製剤又は0.3mg 製剤を 使用(0.01㎎/㎏)

 

エピペン®の保存方法

室温・遮光保存

保存温度が15〜30℃携帯用ケースに入れて保存・携帯

15~30℃での保存が望ましい:

冷所(例:冷蔵庫の中)には置かない。30℃を超えた状態で保存した場合は使用しないことが望ましい)

 

冷所保管(冷蔵庫など)はさける

学校で保管するときは室内の暖房や直射日光の当たらないところ、携帯するときは日の当たるところに長時間おかないこと、屋外なら日陰にて一時保管する

児童が登下校でエピペンを携帯する際、保冷剤や保冷容器などは使わなくても大丈夫

注射方法

・エピペン®を太ももの前外側に垂直になるようにし、オレンジ色のニードル(針)カバーの先端を「カチッ」と音がするまでのゆっくり強く押しつけて注射する

・そのまま5秒間押し付ける

 

片付け

青色の安全キャップの先端を元の 場所に押し込んで戻します。

オレンジ色のニードル カバーの先端を机などの硬い面の上に置きます。
オレンジ色のニードルカバーの両側上部を指で押さえながら、トレーナー本体を下に押し付けて収納します。

 

 

 

研修医当直御法度 第7版 ピットフォールとエッセンシャルズ

2022/10/8
寺澤 秀一 (著), 林 寛之 (著)

 

 

 

 

 

 

 

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