栄養の評価法
栄養に関する代表的な身体計測
・身長、体重(BMI)
・腹囲
・上腕三頭筋皮下脂肪厚(TSF)
・上腕周囲長(AC)
・上腕筋周囲長
・上腕筋面積
BMI
・BMI<18.5で低体重、BMI≧25.0で肥満と診断
・「12か月で5%以上の体重減少」を認めた場合、病的として原因検索が必要。
・ベルト一つの穴→腹囲2.5㎝減少→体重2.5㎏減
検査項目
rapid turnover protein
・血清総蛋白、アルブミン、総コレステロール、コリンエステラーゼ、尿中クレアチニン、末梢血中総リンパ球数、プレアルブミン
計算式
1 日必要カロリー(kcal/day)=BEE × 活動係数 × ストレス係数
経管栄養必要カロリー、水分量の計算式
基礎エネルギー消費量(basal energy expenditure;BEE)
・心臓や呼吸など生きていく上で最小限必要なエネルギーのこと。
・安静臥床、絶食時の基礎代謝で消費される熱量。
Harris-Benedictの式:BEE:基礎エネルギー消費量(kcal/day)
男性 BEE=66.5 +(13.75×体重 kg)+(5.0×身長 cm)-(6.75×年齢)
女性 BEE=655.1 +(9.56×体重 kg)+(1.85×身長 cm)-(4.68×年齢)
総エネルギー消費量
・実際に必要とするエネルギー
・算出するためには、基礎エネルギー消費量に活動係数やストレス係数(侵襲因子)と呼ばれる値を乗じて算出する必要。
1)カロリー量
・Harris-Benedictの式で求めた基礎代謝量(BEE;basal energy expenditure )に活動係数(AF;active factor)を乗じて求める
・活動係数 (AF) :
寝たきり(意識低下状態) 1.0
寝たきり(覚醒状態) 1.1
ベッド上安静 1.2
ベッド外活動あり 1.3~1.4
一般職業従事者 1.5~1.7
2)水分量
① 投与カロリーからの計算法
投与エネルギー量(kcal)と同量(ml)
② 体重からの計算法:
(体重kg)×30~35(ml)
例)50kgの人→1500~1750mL/日
③ 年齢別計算法
成人
25歳~55歳 :35ml/kg/日
56歳~65歳 :30ml/kg/日
66歳以上 :25ml/kg/日 例)50kgの人→1250mL/日
小児
1歳(平均体重9kg):120~135ml/kg/日
6歳(平均体重20kg):90~100ml/kg/日
経腸栄養剤の種類
窒素源の違いにより、「成分栄養剤」「消化態栄養剤」「半消化態栄養剤」に分類される。
1.成分栄養剤(人工的)
・窒素源がアミノ酸のみで構成
・多くの成分が上部消化管で吸収され、残渣がない
・浸透圧が高く、浸透圧性下痢を起こしやすい
・急性膵炎、短腸症候群、炎症性大腸疾患(特にクローン病)で使用される
・エレンタール®(脂肪が少なく、週2~3回は脂肪乳剤を静脈投与する必要がある)、へパン®など
2.消化態栄養剤
・窒素源がアミノ酸またはジペプチドやトリペプチドなどのスモールペプチドからなる。
・吸収が良いため、消化管術後、癌化学療法時、放射線腸炎などで使用される
・ツインラインNF®、ハイネイーゲル®など
3.半消化態(ポリペプチド)栄養剤(一般的に使用される)
・一番食事に近い
・窒素源がタンパク質(通常の食事の形態に最も近い)
・浸透圧が低く、下痢を起こしにくい
・脂肪も十分配合されており、長期投与でも必須脂肪酸欠乏を起こさない
「半消化態栄養剤」の例
医薬品:
E-7Ⅱ®
・1mL当たり1kcal
・水分含有量は約84%(200Kcal(200mL)中の水分量は168mL)
エンシュアリキッド®
・1mL当たり1kcal
・水分含有量は約85%(250mL中の水分量は213mL)
ラコールNF配合経腸用半固形剤®(ラコール半固形)
・医薬品唯一の半固形剤
・1kcal / mL
・水分含有率は約76%(1パウチ(300g)あたりの水分量は228mL)
食品:
メイバランス2.0®
・2.0kcal / mL
・水分含有量は69.1%(400 kcal(200mL) パックの水分量138.2mL)
メイバランス1.0®
・1.0kcal / mL
・水分含有量は84.3%(200 kcal(200mL) パックの水分量168.6mL)
メイバランスR®
・1.0kcal / mL
・水分量・ナトリウム量を多めに設計することで、注水や食塩添加の作業を軽減したもの
・200Kcalパックの水分量400mL(総容量431mL)
半固形化栄養剤
メイフローRHP 400
・400Kcal/562mL
・水分含有量89%(400Kcal(562mL)パックの水分量500mL)
メイフローRHP 300
・300Kcal/447mL
・水分含有量89%(300Kcal(447mL)パックの水分量400mL)
水分・電解質補給飲料
ラクーナ®
・体液より浸透圧を低く設定しているため、すばやく水分補給が可能
・水分、電解質、ビタミンC補給
・エネルギー 225kcal/1000mL(0.225Kcal/mL)
ソルデム3Aよりやや多い、アクチットと同じくらい
・ナトリウム442㎎/1000mL
・たんぱく質 0g
投与速度
経鼻胃管、胃瘻
・投与開始時は投与予定量の1/3~1/2程度から
・開始速度は100mL/時で開始。その後徐々に増速する。
(1週間絶食の場合は25~50mL/時で開始)
・最終的な投与速度は一般には200ml/時(最速で300mL/時)
空腸栄養
・空腸栄養では10~20mL/時で開始、約7週間かけて目標量まで増量。
・最終的な投与速度は一般には100ml/時
栄養剤の注意点
・冷たい栄養剤は下痢の原因になりやすいため、室温で投与する(温めると雑菌が繁殖するので、温めない)
・浸透圧が高い成分栄養剤(窒素源がアミノ酸)は下痢を起こしやすい。
・一方、窒素源がタンパク質の半消化態栄養剤は浸透圧が低く、下痢を起こしにくい。
・脂肪が多い栄養剤は下痢になり易いため、下痢がひどい場合は脂肪が少ない栄養剤にする。
胃蠕動運動低下時の薬物療法
・モサプリド(ガスモチン®)
消化管運動機能改善薬のなかで最頻薬
・アコチアミド(アコファイド®)
ChE阻害薬
・ニザチジン(アシノン®)
ヒスタミンH2受容体阻害薬
胃酸分泌抑制ならびに胃排出促進作用、唾液分泌促進作用
・エリスロマイシン(エリスロシン®)
モチリン様作用として、消化管運動促進作用を示す
経管終了後の注意点
・30~60分はフラットな体位を避け逆流を防止する。
合併症
胃食道逆流→誤嚥
・胃排出速度の遅延、下部食道括約筋機能の低下などが原因)
・体位調整(ベッド挙上:投与後1時間は30°以上)
唾液量増加
栄養入れる→唾液が出る→唾液の誤嚥+去痰困難での肺炎が問題
(こういった話も事前に話すことが必要)
下痢
速度を100mL/時より遅くする(目安50mL/時)
投与量を減らす(開始時は予定量の1/3~1/2から)
乳糖フリー製品(ヘプタメン®等)に変更
先水投与
食物繊維を付加する(サンファイバー®など)
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