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グラム染色(Gram染色)の基本

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Geckler分類

「Geckler分類4群以上」の検体で観察すること

 

Geckler分類

・グラム染色を行い、それを診断のための材料にするには質の良い検体採取が必須である。

・特に喀痰の質は重要で、肺炎を評価する場合には「Geckler分類の4 群または5群 」のみが適切な
喀痰の質であり、それ以外の質では肺炎の評価は不可能である。

・喀痰は他の検体と異なり、採痰方法次第で質が大きく変わる。

・良質の喀痰を得るための対策:

① 唾液とその中の口腔内常在菌が混じらない様に口腔ケアを行ってから喀痰採取する

(事前の歯磨きや口腔内清拭、うがい、口腔内の唾液吸引)

② 喀出困難な場合は、3%高張食塩水(30ml 以上)をウルトラネブライザーで吸入させて喀痰を誘発する

 

・3群(好中球も上皮も多い検体)は誤嚥の可能性がある

 

100倍視野(弱拡大)で観察

 

 

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手順

検体を耳かきひとすくい程度、または爪楊枝ごく少量とる

喀痰は検体を膜状、または樹枝状に薄く広げる

尿や髄液はスライドガラスに数滴直接たらしてそのまま広げない

スライドガラスの裏から、ライヤーの温風で乾燥固定

30㎝程度離して、裏面からでも可

(バーナーでの火炎固定は省略できる)

バーナーの上を軽く2回通過させる(火炎固定)

クリスタルバイオレット液(青)をかけてて10~30秒

その後スライドガラスの裏面から洗浄

ルゴール液(茶)で30秒

その後洗浄

アルコールで脱色10~20秒、軽く揺らして脱色
その後洗浄

サフラニン液(赤)を30秒

その後洗浄

ペーパータオルで表裏の水滴をそっととる

ドライヤーで乾燥


検鏡(肉眼、100倍1000倍)

「染まりの波打ち際」を観察

 

 

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グラム染色で想定される一般的細菌

グラム陽性球菌(GPC)

・ブドウ球菌、連鎖球菌、グラム陽性双球菌(腸球菌または肺炎球菌)の3タイプに分類

・球菌が4つかたまった「田んぼの田」が複数あれば「ブドウ球菌」

・6連鎖以上あれば「連鎖球菌」

・2連鎖または長くて4連鎖の短い菌は「腸球菌か肺炎球菌」

・腸球菌は横隔膜より足側由来の検体、肺炎球菌は横隔膜より頭側検体由来が多い

・肺炎球菌は周囲に白い莢膜がある

 

グラム陽性桿菌

・松葉状、柵状:コリネバクテリウム

 

 

グラム陰性球菌(GNC)

・モラクセラ、淋菌、髄膜炎菌の3タイプ

いずれもソラマメ型をした双球菌で見た目からは鑑別できないが、検体で鑑別できる

・肺炎、気管支炎の喀痰や副鼻腔炎の鼻汁では「Moraxella catarrhbalis」が想定

・尿道炎の尿分泌物なら淋菌

・髄液なら髄膜炎菌

 

グラム陰性桿菌(GNR)

・「大腸菌、クレブシエラやその類縁」「インフルエンザ桿菌」「緑膿菌やその類縁」の3タイプに分類

・縦横比が1:2~3のソーセージ型なら大腸菌タイプ

・大腸菌より少し大きくて莢膜があればクレブシエラ

・球菌と間違えそうなくらい、大腸菌よりかなり小さい陰性桿菌はインフルエンザ桿菌

・大腸菌よりかなり細い陰性桿菌は緑膿菌タイプ

・緑膿菌は周囲にムコイド形成あり

 

多種多様、複数菌種が見える場合

・嫌気性菌の関与やそれによる膿瘍形成など、「嫌気性菌を含む混合感染」を考える

・喀痰であれば誤嚥性肺炎や肺膿瘍を考える

 

 

レジデントノート 2020年5月 Vol.22 No.3 輸液ドリル〜実践に役立つ基本がわかる問題集

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