悪玉男性ホルモン、DHT(ジヒドロテストステロン)とは?
・男性ホルモンの一種
・遊離テストステロンに5α-リダクターゼという還元酵素が作用し生成される。
DHTの作用
・DHTは、発生の段階では男性胎児の生器の正常化という重要な役割を果たす。
・しかし思春期以降には、前立腺肥大、ニキビなどと男性特有の悩みの原因となる。
DHT(ジヒドロテストステロン)と薄毛の関係
・髪は、成長期に育ち、退行期に成長が止まる。そして、休止期を経て自然に抜けるサイクルがある。
・DHTが毛乳頭細胞に存在する男性ホルモン受容体と結合すると、成長期にある毛髪に対して退行期及び休止期に移行する信号が出され、その結果として、退行期の細い毛髪が増えたり、毛髪が長く太い毛に成長する前に抜けてしまう。
・5αリダクターゼが存在する頭部に影響が現れやすく、薄毛を引き起こす。
AGA(androgenetic alopecia)とは?
・日本では「壮年性脱毛症」が正式の病名
・薄毛の進行を左右する5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型がある。
・薄毛の原因となるジヒドロテストステロン(DHT)へ代謝されやすいのはⅡ型の5αリダクターゼである
・Ⅰ型、Ⅱ型はそれぞれ分布する部位が異なる
Ⅰ型…ほぼ全身の皮脂腺
Ⅱ型…頭皮(主に前頭部と頭頂部)・脇・髭・陰部など
・AGAは、前頭部と頭頂部周辺が薄毛になりやすいという特徴があるが、これはⅡ型の5αリダクターゼが前頭部や頭頂部に集中的に分布していることが大きな理由である。
・ちなみに、同じⅡ型が多く存在する脇や髭、陰部では脱毛作用とは反対の発毛作用が強く働く(→髪は薄くなったのに髭や脇毛は濃くなったと感じられる場合、5αリダクターゼの活性度が高く薄毛になりやすい体質であると考えられる)。
5αリダクターゼ阻害薬
・AGA治療薬には、5αリダクターゼを抑制することで薄毛を予防する薬が2種類発売されている。
フィナステリド(プロペシア®):Ⅱ型5α-還元酵素阻害薬
デュタステリド(ザガーロ®):Ⅰ型・Ⅱ型5α – 還元酵素阻害薬
フィナステリド(プロペシア®):Ⅱ型5α – 還元酵素阻害薬
・日本皮膚科学会のガイドラインでは、フィナステリドによるAGA治療は推奨度Aランクともっとも高く評価されていて、優れた薄毛予防効果が期待できます。
・副作用が起こるリスクも極めて少ない。
デュタステリド(ザガーロ®):Ⅰ型・Ⅱ型5α – 還元酵素阻害薬
・もともとは前立腺肥大症の治療薬「アボルブ®」が、のちに薄毛予防に効果があることがわかり、AGA治療薬として広く使われるようになった。
・フィナステリド(プロペシア®)はⅡ型5α – 還元酵素しか抑えることができなかったのに対し、デュタステリド(ザガーロ®)はⅠ型とⅡ型の両方を抑えることで、プロペシアよりもDHTの生成をより強く抑えられることが期待される。
・実際の効果としても、24週間の投与により、ザガーロ0.5mgがプロペシア1mgの1.6倍の発毛効果がみとられたという結果がえられている
・プロペシア1mgでいまいち効果が得られなかった方にも次の一手が期待できることになります。
・副作用に関しては、プロペシアとザガーロのあいだに有意な差はみられなかったため、初めからこちらを選択することも可能。
食事
亜鉛
・亜鉛が含まれている食べ物は、牡蠣や牛肉、レバー、しじみなどです。・亜鉛には、5αリダクターゼの抑制作用があるといわれ、結果的にジヒドロテストステロンの生成が減ります。
・また、髪を構成するケラチンを合成する働きもあります。
大豆類
・大豆類に含まれるイソフラボンは、植物性エストロゲンとも呼ばれており、体内で女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをする。
・大豆類を摂取してエストロゲンが増えると、相対的に男性ホルモンが少なくなるため、結果的にジヒドロテストステロンが作られにくくなる。
・また、5αリダクターゼの働きを阻害するともいわれる。
ミカンの皮
・ミカンの皮に含まれるd-リモネンには、5αリダクターゼの抑制作用があるといわれている。
・ミカンの皮をそのまま食べるのは難しいので、細かく刻んで料理やお菓子に使うと良い。
アロエ
・アロエに含まれるアロインには、5αリダクターゼの阻害作用があるといわれている。
生活習慣
・生活習慣が乱れていると、ホルモンバランスが崩れてテストステロンの分泌量が増加し、結果的にジヒドロテストステロンの量が増える可能性がある。
・良質かつ十分な睡眠
良質かつ十分な睡眠は、ストレスを和らげてホルモンバランスを整える作用があります。必要な睡眠時間には個人差があるため、自分に適した睡眠時間を確認しましょう。また、睡眠の質を高めるために、寝る前のスマホ操作や激しい運動、熱い風呂につかるといった行為を避けてください。
寝る2時間前にぬるめの湯にゆっくりつかることをおすすめします。また、寝る前の軽いストレッチは、血流を促すことで良質な睡眠へと導くとされています。
・適度な運動
適度な運動は、ストレスを和らげることでホルモンバランスを整える働きが期待できます。ウォーキングやジョギング、サイクリングなど、長く続けやすい運動を選びましょう。激しい運動はかえってストレスが溜まるため、避けることが大切です。
運動中は、景色を楽しんだり音楽を聴いたりしましょう。ストレスをより大きく解消できます。
・飲酒を控える
アルコールは、肝臓で代謝されます。その際に、亜鉛が多量に消費されるため、飲酒はできるだけ控えることが大切です。どれだけ亜鉛を意識的に摂っていても、日常的に飲酒をしている場合は、結果的にジヒドロテストステロンの量が増える可能性があります。
また、アルコールには利尿作用があるため、寝る前に飲酒すると夜間にトイレに行きたくなり、睡眠の質が低下します。
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