定義
・医療者と患者・家族が、エビデンスだけでなく、個々の価値観や好み、希望、そして不安について十分に話し合いながら、互いにもつ情報を共有していく中で一緒に治療方針を決定する、家庭医療を特徴付ける手法の一つ。「共同意思決定」と呼ばれている。
・医療者は医学的根拠に基づき選択肢を提示し、患者・家族はその説明を受けて自分の人生設計や価値観などを説明し、お互いが情報共有した上で「合意」へというプロセスを通して意思決定に至るべきであるというアプローチである。
Elwynの3ステップモデル
・Choice Talk、Option Talk、Decision Talkという3つのステップを踏む方法である。
・相互にコミュニケーションを取りながら、患者が正しく医学的情報を理解し、自分は何を大事にして決めたいかをよく考えて、自分らしい決定ができるようにつくられたものである。
・このステップの間、医師または看護師などの医療者は情報を提供したり、質問に答えたり、患者さんが意思決定に参加できるように励ましたり、希望を聞くなど意思決定のサポートを行う。
1)Choice Talk(選択の必要性についての話し合い)
ことを伝える。
2)Option Talk(選択肢についての話し合い)
③選択肢それぞれの医学的方法の違いを説明し、対話の中から好み(プリファレンス)を探る(特にそれぞれの選択肢のメリットとデメリット、身体・心理面・人間関係や役割などの社会的な面に起こる影響を伝える。その違いがどう受け止められるかは患者によって違うということも話し合う)。
3)Decision Talk(決定についての話し合い)
(治療上どのぐらい待てるか可能な範囲による)を伝え、好み
(プリファレンス)を引き出す。
考察
SDMは、患者と医療者が話し合いながら意思決定を行う実践的なツールである。
絶対的な治療方針の正解がない場面での意思決定に特に有効である。
またSDMの実践過程では必然的に対話が生まれ、患者の好みや価値観を把握できるためadvanced care planningとも相性が良く、社会的背景を含めて勘案すべき事項が多い高齢者医療においては特に有効な治療方針決定手法と考えられる。
引用文献
Mulley, A. G., Trimble C., Elwyn, G. (2012). Stop the silent misdiagnosis: patients’ preferences matter. British Medical Journal, 345, 1-6.
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