「奈良宣言2023」とは
・最近はウイルス性肝疾患による死亡者は減少傾向であるが、一方で生活習慣病を基盤とする、いわゆる「脂肪肝」(非アルコール性脂肪肝炎(NASH)やアルコール性肝疾患)を基礎疾患とする肝疾患が年々増加している。
・そのため2023年の第59回日本肝臓学会総会で「肝疾患の早期発見、早期治療のきっかけ」としてALT>30U/Lを一つの目安とすることが提唱された(奈良宣言2023)。
・これは、健康診断でALT>30U/Lであった場合、まずはかかりつけ医等を受診し、検査が行われ、必要があれば専門医を受診し精密検査を受けることにより、肝疾患の早期発見、早期治療に繋げることを目的としている。
AST>30U/Lの診療の進め方
肝疾患の問診で確認すべき事項
ウイルス性肝炎
・経口摂取
・血液検査
・性交渉など
非アルコール性脂肪性肝疾患
・肥満
・糖尿病
・脂質異常症
・高血圧症の合併の有無
アルコール性肝障害
・飲酒量(男性60g/日以上、女性40g/日以上)
薬剤性肝障害
・薬物、サプリメントの内服歴
免疫関連副作用(irAE)
・免疫チェックポイント阻害薬の治療歴
推奨される検査
※下記の検査でNAFLDと他の疾患の鑑別を行う
肝炎ウイルス検査
・HBs抗原
・HCV抗体
自己抗体検査
・抗核抗体(自己免疫性肝炎、SLEなど)
・抗ミトコンドリア抗体(原発性胆汁性胆管炎)
ALT持続高値でNAFLDが疑われる場合
ALT持続高値でNAFLDが疑われる場合で、
① 血小板数20万/μL未満の症例
または
② FIB-4index 1.3以上の場合
消化器内科へコンサルトする
・その他の場合は、かかりつけ医にて肝臓の線維化が進行していないか、定期的に検査をすることが推奨される。
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