参照:
介護施設・事業所における感染症発生時の業務継続ガイドライン(厚生労働省老健局令和6年3月)
内閣府「事業継続ガイドライン-あらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応-平成 25 年8月改定)」
業務継続計画(BCP)とは
・BCP(ビー・シー・ピー)とは Business Continuity Plan の略称で、「業務継続計画」と訳される。
・新型コロナウイルス等感染症や大地震などの災害が発生すると、通常通りに業務を実施することが困難になります。まず、業務を中断させないように準備するとともに、中断した場合でも優先業務を実施するため、あらかじめ検討した方策を計画書としてまとめておくことが重要です。
・BCP の特徴として、災害等が発生した後に速やかに復旧させることが重要ですが、その前に「重要な事業を中断させない」という点が挙げられます。
BCPの定義
内閣府「事業継続ガイドライン-あらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応-平成 25 年8月改定)」
『大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化など不測の事態が発生しても、重要な事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧させるための方針、体制、手順等を示した計画のことを「事業継続計画(Business Continuity Plan、BCP)」と呼ぶ』
事業継続計画(Business Continuity Plan、BCP)において重要な取組
・事業継続の方針を決めて共有すること
・体制を決めて、各担当者をあらかじめ決めておくこと(誰が、いつ、何をするか)
・連絡先をあらかじめ整理しておくこと
・必要な物資をあらかじめ整理、準備しておくこと
・上記を組織で共有すること
・定期的に見直し、必要に応じて研修・訓練を行うこと
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策、 BCP の作成・運用のポイント
感染拡大防止策
・感染拡大防止策の出来は、従業員の安全と健康の確保のみならず、操業度にも大きく影響する。
・ここでは、手洗い・消毒、対人距離の確保(2m)等の「従業員個人レベル」の対策、来訪者への協力要請、国内外出張の取扱い、衛生用品の準備、会議室の利用制限等の 「組織レベル」の対策、発熱者・濃厚接触者の出社自粛等の「感染者発生時」の対策が含まれる。
・なお、具体的な感染予防策の選別や実施方法の策定等、ここでも専門知識を持つ産業保健スタッフの積極的な関与が望まれる。
新型コロナウイルス感染症での BCP の作成・運用のポイント
感染症流行時に最低限必要な4つ基本事項
・感染症の流行においては、物的被害が中心の地震等の自然災害とは異なり、従業員等の人的資源への被害が中心となる。このため、感染症BCPにおいても、その対策は人的資源に対する対策が中心となる。
・具体的には感染拡大防止策に加え、欠勤者が出た場合に備えた代替要員確保等、多面的な対策が望まれる。
・「最終意思決定者」、「外部(例:病原性の情報)・ 内部(例:社内発症数)情報の収集体制」、「感染拡大防止策」、「事業継続に及ぼす影響の評価に関する準備」の4つは、感染症流行への対応を行う上で企業規模を問わず最低限必要なものといえよう。
「発生段階」に合わせた 段階的な対策を整理
厚生労働省では5つの発生段階(未発生期、海外発生期、国内発生早期、国内感染期、小康期)」で「新型インフルエンザ等対策」を整理している。
・企業の対策方針は政府の対策に左右されるため、この発生段階ごとに企業での対策を整理することが望ましい。
事業継続に及ぼす影響の評価
・資金繰り等も含めて、事業にどのような影 響が出るのかをあらかじめ想定しておくことが重要とな る。具体的には「中核事業の特定」、「中核事業が受ける被害の評価」、「財務状況の評価」を行う。
・まず、流行のまん延期に「どの事業を継続させるべきか?」等の経営判 断を行うために中核事業の特定を行うが、社会的必要性や企業存続のための収入を確保する必要性を勘案し、継続しなければならない事業を特定する。
・次に、特定した 中核事業が、流行の拡大により「どの程度の影響を受けるのか?」についてであるが、その継続のために必要な資源(人、物、金、情報等)がどの程度の影響を受け、事業継続にどの程度の支障をきたすかを可能な限り把握しておく。
・最後に、流行のまん延期に必要となる運転資金 (従業員の給与、ビルの賃借料等)を概算し、運転資金を 確保する対策についても検討しておく。
・中核業務に該当しない業務 については、感染予防の観点から多人数が1カ所に集合するような業務(例:集合研修、工場見 学、イベント等)は休止業務として明確に定めておき、感染 拡大の状況に応じて、早い段階から同業務を休止していくことが望まれる。
・中核業務・休止業務に該当しない通常業務においては、感染拡大の状況に応じて縮小・休止を検討していくことになる。
・なお、これらの業務の縮小・休止で生じた人員を、中核業務継続のための代替要員として 使っていくこと等も検討できるとよい。
人的資源に対する対策を手厚く整理
・感染症の流行においては、物的被害が中心の地震等 の自然災害とは異なり、従業員等の人的資源への被害が 中心となる。このため、感染症BCPにおいても、その対 策は人的資源に対する対策が中心となる。
・具体的には前 項で述べた感染拡大防止策に加え、欠勤者が出た場合 に備えた代替要員確保等、多面的な対策が望まれる。
BCP の維持更新
BCPは一度策定したら終わるものではなく、状況の変化 (例:行政の動向や社内体制の変化)や実際にBCPを発動する中で課題等が見つかった場合には、適宜、最新の 状況を反映して維持・更新していくことが重要となる。
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