疾患
・右横隔膜と肝右葉前面との間に結腸,空・回腸などが嵌入した状態のことをいう。
・無症状のまま経過することが多く,ほとんどの場合は検診あるいは他疾患経過中に偶然発見
される(定期集団検診での頻度:0.003%~0.015% )
・上腹部不快感,胸部不快感,悪心,嘔吐などの症状を呈す場合もある
・消化管嵌入の持続は「一過性」と「恒久性」との場合に分けられる.頻度としては一過性のことのほうが多いとされている.
・通常経過観察か保存的治療で十分であるが,症状を有するか腸閉塞をきたした場合などに外科的治療を考慮することとなる.
原因
・本疾患の成因として①腸管因子、②横隔膜因子、③肝因子の 3 つに分類される
① 腸管因子:
・腸管内ガスの異常大量貯留、イレウス、または巨大結腸
・結腸の先天的遊走性,
② 横隔膜因子
・筋萎縮あるいは筋変性による横隔膜高位
・横隔膜神経障害による横隔膜麻痺
・肺疾患による胸腔内圧の変化
③ 肝因子:
・肝下垂
・肝萎縮
・肝支持靭帯の弛緩
・肝の下方への癒着
症状
・臨床症状としては本疾患に特異的なものは無く,多くは無症状である
・時に腹部膨満,慢性便秘,放屁,腹痛,呼吸困難,胸痛などがある
嵌入腸管
・結腸嵌入69%、小腸嵌入は3%と結腸が大部分を占める
・その他、胃,十二指腸の嵌入例も認める
・小腸嵌入型の Chilaiditi 症候群では一過性ではなく,肝近傍に索状物がありそ
の中に小腸が嵌入し絞扼した例が多い.結腸型に比べて手術になる例が多い
治療
・無症状なことが多く,症状があっても一過性のものであることが多いため,一般的には
慎重な経過観察で十分
・腸閉塞などを併発したり、また絞扼性イレウスを発症しやすい小腸嵌入型の場合手術適応であり,大腸嵌入型で症状が乏しく、また一過性であるものは相対的手術適応である
とするものが多い。
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