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冠攣縮性狭心症(Coronary Spastic Angina : CSA)

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疾患

・突然の冠動脈過収縮により一過性に血流が低下し,心筋虚血を引き起こし,狭心痛を引き起こす病態。

・欧米人よりも日本人に多い

・心臓の表面を走行する比較的太い冠動脈が過収縮をきたして心筋虚血を惹起することから、「冠攣縮により冠動脈が不完全閉塞される場合」あるいは「完全に閉塞されてもその末梢に十分な側副血行路が発達している場合」は非貫壁性心筋虚血を生じ、心電図上ST低下を伴う狭心症が起こる。

・一方で、冠動脈が完全閉塞すると、その灌流領域に貫壁性心筋虚血を生じ、心電図上ST上昇を伴う狭心症(異型狭心症)が起こる。

・冠攣縮性狭心症では「喫煙」が最も重要な危険因子である。

・冠攣縮は「寒い季節に多い」という季節変動や、「夜間から早朝にかけての安静時に出現しやすい」といった日内変動があるのが特徴的である。

・冠攣縮の発生メカニズムには,内皮機能障害と中膜平滑筋過収縮が関与しており,Rhoキナーゼ経路の重要性が示されている。冠攣縮は,冠動脈硬化症を基礎としており,生活習慣の是正,冠危険因子のコントロールが重要である。

・冠攣縮は薬剤溶出性ステント留置後にも起こりうる。これは,ステント留置部位の内皮被覆度,あるいは冠動脈外膜側の低酸素惹起性血管新生(vasa vasorum)の存在がステント遠位側に冠攣縮を誘発させるものであると考えられている。

 

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臨床症状

安静時に、15分程度の前胸部痛(時に上腹部痛、顎・肩への放散痛、上腕のしびれ等)

・冷や汗

夜間から早朝にかけて出現する(日内変動有り)

・早朝には軽度の労作で誘発

過呼吸や飲酒により誘発

・発作に伴う不整脈(完全房室ブロック、心室頻拍、心室細動→意識消失)

 

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CSAの危険因子

喫煙

• ストレス(自律神経機能の異常)

• 飲酒

• 性格(タイプA気質)

• 脂質異常

• 遺伝的要因(eNOS,HLA-DR2)

• 寒冷、過換気、女性ホルモン欠乏

• インスリン抵抗性

• ビタミンE欠乏

 

診断アルゴリズム

まず,症状が典型的か非典型的か,詳細な病歴聴取が必要である。続いて,冠攣縮誘発試験を考慮する。

①自然発作:発作時の12誘導心電図で,有意な心筋虚血所見を認める。また,ホルター心電図またはモニター心電図を行う。ただし,誘導によって発作時の虚血性変化をとらえることができないこともある。

②非薬物負荷試験:12誘導心電図によるモニタリング下で,過換気負荷試験や寒冷刺激試験などを行う。

③薬物負荷試験:冠動脈造影を行う。まず,冠拡張薬投与前のベースラインの冠動脈造影を行う。血管トーヌスが亢進し,spasticなことがある。引き続き,アセチルコリンまたはエルゴノビン冠動脈内投与を行う。有意所見の場合は,冠動脈造影上,有意な冠攣縮が誘発され,普段の狭心痛や有意な心電図変化を認める。その後,ニトロ製剤などの冠拡張薬を投与し,冠攣縮による狭窄度を評価する。冠攣縮誘発試験後は,少なくとも翌朝まで冠拡張薬投与が必要である。

なお,両心カテーテル検査および左室造影では,通常は特記すべき所見はないが,重度の心筋虚血がある場合は圧所見の異常や,壁運動異常を認めることがある。

 

治療

禁煙(必須)、禁酒等の生活習慣の是正

• 硝酸薬(ニトログリセリンや硝酸イソソルビド)の投与

予防にはCa拮抗薬の就寝前の内服

βブロッカーは冠攣縮を増悪させるため、使用する時は冠拡張薬の併用(Ca拮抗薬、硝酸薬)の併用が必要

• その他:スタチン、Mg、漢方、Rhokinase阻害薬etc

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