症状
・近時記憶障害で発症することが多い
・進行に伴い、見当識障害や遂行機能障害、視空間認知障害が加わる
・アパシーやうつ症状などの精神症状
・病識の低下
・振り返り徴候(head turning 徴候)
問診の際など医師からの質問に対し、自信がないために、付き添い者のほうを振り向いて確認を求める行動
・取り繕い反応
記憶障害や見当識障害を取り繕い、事実とは異なることを話したり、「誤魔化した」と受け取られるような回答をしてしまうこと。
・健忘失語(喚語困難のため迂言が多くなる)
・語性錯誤
・物盗られ妄想
薬物療法の原則
・治療薬の効果は認知症症状の軽減、進行抑制であり、効果がみられない場合は漫然と継続しない。
※通常、ADの自然経過ではHDS-RやMMSEは年3点程度の低下を認める。
・軽症ではChE阻害薬、中等症以上ではChE阻害薬、メマンチン、あるいは両者を併用する。
アルツハイマー型認知症治療薬の種類
ChE阻害薬
・ドネぺジル(アリセプト®)、ガランタミン(レミニール®)、リバスチグミン(リバスタッチ®、イクセロンパッチ®)の3剤が利用可能
・薬剤間に治療効果の差はない
・副作用として、アセチルコリン過剰による症状がある
消化器症状(悪心嘔吐、下痢、食欲不振、消化管出血)
循環器症状(徐脈、失神、房室ブロック、延長)
・高度ADに適応のある阻害薬はドネペジルのみ
ドネぺジル(アリセプト®)
・レビー小体型認知症にも適応あり
・開始時1回3mg1日1回
・1~2週後に1回5mg1日1回に増量
・高度ADでは1回5mg1日1回で4週間以上継続後に1回10㎎1日1回まで増量可能
ガランタミン(レミニール®)
・開始時1回4mg1日2回
・4週後に1回8㎎1日2回まで増量
・効果不十分の場合は1回8㎎1日2回で4週間以上継続後に1回12㎎1日2回まで増量できる
リバスチグミン(リバスタッチ®、イクセロンパッチ®)
・開始時1回4.5㎎1日1回、4週毎に4.5㎎ずつ増量、1回18㎎1日1回で維持
・状態により、1回9mg1日1回あkら開始、4週後に18㎎まで増量可
NMDA受容体拮抗薬メマンチン(メマリー®)
・グルタミン酸受容体の一種。AD脳で過剰となるグルタミン酸の興奮毒性を遮断する
・中等度~高度のADに適応
・開始時1回5mg1日1回、1週毎に5mgずつ増量、1回20㎎1日1回で維持。
・腎障害(Ccr<30)の場合は1回10㎎1日1回で維持
アルツハイマー型認知症に対する薬剤投与計画
①軽症例
ChE阻害薬のいずれかから1剤
↓
効果不十分、効果減弱、あるいは副作用で継続困難
↓
他のChE阻害薬に変更
②中等度例
ChE阻害薬の1剤かメマンチンを開始
↓
効果不十分、効果減弱、あるいは副作用で継続困難
↓
「他のChE阻害薬かメマンチンに変更」、または
「ChE阻害薬とメマンチンの併用」
BPSDに対する治療
・非薬物療法を優先する
・無効の場合は、非定型抗精神病薬であるリスペリドン(1回0.5~1㎎、1日1回)、クエチアピン
(1回12.5㎎~25mg、1日1~2回:糖尿病禁忌)を使用
・長期投与は生命予後の悪化に関連するため、一時的な使用に限定する
総合診療 2019年12月号 困っている“あなた”に届く 認知症診療
レジデントノート 2021年7月 Vol.23 No.6 絶対に見逃してはいけない画像診断8疾患〜致死的な疾患を見抜くために、正常解剖と典型的な異常所見を押さえる!
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