レベル評価
1)Japan Coma Scale(JCS)
・日本で主に使用される意識障害の深度(意識レベル)分類。
・「JCS 100」のように表現するのが正式(Ⅲ-300とするのは開発者らの論文からも間違い)
Ⅰ.覚醒している(1桁の点数で表現)
0 :意識清明
1 :見当識は保たれているが意識清明ではない
2 :見当識障害がある
3: 自分の名前・生年月日が言えない
Ⅱ.刺激に応じて一時的に覚醒する(2桁の点数で表現)
10 :普通の呼びかけで開眼する
20: 大声で呼びかけたり、強く揺するなどで開眼する
30: 痛み刺激を加えつつ、呼びかけを続けると辛うじて開眼する
Ⅲ.刺激しても覚醒しない(3桁の点数で表現)
100: 痛みに対して払いのけるなどの動作をする
200: 痛み刺激で手足を動かしたり、顔をしかめたりする
300: 痛み刺激に対し全く反応しない
この他、R(不穏:restlessness)・I(糞便失禁:incontinence)・A(自発性喪失:akinetic mutism)などの付加情報をつけて、JCS 200-Iなどと表す。
2)Glasgow Coma Scale(GCS)
・現在世界的に広く使用される評価分類スケールである。
・正常は15点満点で、深昏睡は3点。
・点数は小さいほど重症である。
E:開眼機能(Eye opening)
4点:自発的に、またはふつうの呼びかけで開眼
3点:強く呼びかけると開眼
2点:痛み刺激で開眼
1点:痛み刺激でも開眼しない
V:言語機能(Verbal response)
5点:見当識が保たれている
4点:会話は成立するが見当識が混乱
3点:発語はみられるが会話は成立しない(word→W→Ⅲ)
2点:意味のない発声:(「voice→V→Ⅱ」「モニョX2はV2」)
1点:発語みられず
なお挿管などで発声が出来ない場合は「T」と表記する。
扱いは1点と同等である。
M:運動機能(Motor response)「M」
6点:命令に従って四肢を動かす:離握手が可能
5点:痛み部位に手足をもってくる(localize)
4点:逃避屈曲(withdraws)
3点:異常屈曲(abnormal flexion:除皮質硬直)
2点:異常伸展(extends:除脳硬直)
1点:運動みられず
アジミ体操(参照:https://matsushita-er.blogspot.com/2020/01/blog-post_31.html)
3)Mayo clinic分類
傾眠:外からの刺激がないと閉眼して眠り込んでしまうが、呼びかけなどの軽い刺激で容易に覚醒する。
昏迷:自動運動はあり、痛覚刺激でかろうじて開眼する、あるいは手で払いのけるなどの反応を示すが、十分には覚醒させることのできない状態。
半昏睡:自動運動はほとんどないが、覚醒刺激に反応し、逃避反応(手足を引っ込めて刺激を避けようとする)を示したり、顔をしかめたりする。
昏睡:自動運動はなく、痛覚刺激に対して除脳硬直の姿勢をとるなど反射的動きはあっても、手で払いのける動作は見られない。深昏睡になると強い痛覚刺激を与えても全く覚醒せず、四肢は弛緩している。
意識レベル低下時の初期対応、神経学的所見
① バイタルサインチェック
異常があればまず補正
↓
② 血糖測定;必ず!!
↓
同時に「Do DONT」
D:dextrose(血糖)→低血糖なら50%ブドウ糖40ml iv(30分、60分後再検)
O:oxygen→カヌラ2L開始
N:naroxon(麻薬中毒)日本では少ない
T:thiamine→ビタミンB1:チアミン注(アリナミンF®、メタボリン®)100㎎ iv
↓↓ 神経学的所見
・意識レベル評価:GCSまたはJCSで
・眼(瞳孔径、対光反射、共同偏視、眼球運動、人形の目現象(Wernicke、脳幹障害)
・四肢筋緊張(左右差)
上肢落下試験
下肢膝立て試験(knee up test)
膝立てをさせ、その位置の保持を指示せずに支えた手を放す。
→3秒以上膝立てを保持できれば正常
・自発運動左右差
・深部腱反射、病的反射
・髄膜刺激症状
・羽ばたき振戦の有無
↓
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