脂質異常症は太っている人ばかりに多いとは限らない
・日本では、高コレステロールの人の割合が、やせ・標準・肥満の人の間で差がなくなってきているという報告がある
・特に50歳以上の女性では、やせていながら高コレステロールである人の割合が、昭和55年から平成22年までの30年間で3倍以上に増えて、肥満者とほとんど差がなくなっている。また男性では、標準体重の人と肥満者で同様にわずかな差しかなくなっている。
・この原因として、食事でとる飽和脂肪酸の増加が指摘されています。肥満解消目的で糖質制限を行い、動物性脂肪を多くとっている人は要注意。
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・また、遺伝的な要因によりLDLコレステロール値が高くなる家族性高コレステロール血症も考えられる。
やせ型体型の脂質異常症の原因
① 肉やバターなど動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸をとり過ぎるなど、食習慣の乱れ(内臓脂肪型肥満)
② 遺伝によるもの
③ 中高年女性での閉経後脂質異常症
一定の遺伝的体質を持つ女性が閉経期を迎え、急激に女性ホルモンが下がることで起こるもので、一種の更年期障害。
この場合は産婦人科などでHRT(ホルモン療法)を検討
やせ型脂質異常症の診療方針
①まずは続発性脂質異常症の除外
・甲状腺機能低下症(特に女性)
・肝疾患
・腎疾患(ネフローゼ症候群や慢性腎不全)
・自己免疫疾患
・血液疾患(多発性骨髄腫など)
・薬剤性(ステロイド、利尿剤、βブロッカー、免疫抑制剤、経口避妊薬のエストロゲ
ン、てんかんの薬の一部など)
・食生活の乱れ(ケーキを大量に食べているなど極端な食生活)
③ 家族性高コレステロール血症の可能性の検索
・上記の原因が認められない場合には,FHが疑われるため、「黄色腫(眼瞼黄色腫以外の皮膚結節性黄色腫や腱黄色腫)」または「2親等以内の家族歴(FHあるいは早発性冠動脈疾患)」を聴取
・FHと診断された際には、患者に十分な説明と生活習慣の改善を指導した上で薬物療法を考慮する。
③ FHと診断できない場合には,生活習慣指導
・FHと診断できない場合には,生活習慣の改善のみで動脈硬化の進行を定期的にフォローする
やせ型脂質異常症への生活指導
食事指導
肉類を減らし、魚を増やす
・LDLコレステロールを増やす飽和脂肪酸の多い肉類を減らし、LDLコレステロールを減らす効果がある不飽和脂肪酸の多い青背の魚(さば・いわし・さんま・あじなど)を増やす。
食物繊維を積極的に
食物繊維には、小腸でのコレステロールの吸収を抑える効果がある。
・野菜、きのこ、海藻、いも、玄米、麦、全粒粉やライ麦のパン、大豆食品などに多く含まれる。
卵は控えめに
・厚生労働省は脂質異常症の人やそのリスクが高い人は、食品からのコレステロールの摂取量は1日200mg未満にとどめることが望ましいとしている。
・卵黄にはコレステロールが多く、卵1個(50g)のコレステロール値は210mg。
運動指導
有酸素運動を毎日30分
ウォーキング、サイクリング、スロージョギング、水中運動などを少し汗がにじむ程度の強度で、できれば毎日30分以上行う(数回に分けてもよい)。
禁煙指導
喫煙は狭心症や心筋梗塞の原因になる。自力で禁煙できなければ、禁煙外来も検討する。
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