ショック(日本救急医学会)
定義
生体に対する侵襲あるいは侵襲に対する生体反応の結果,重要臓器の血流が維持できなくなり,細胞の代謝障害や臓器障害が起こり,生命の危機にいたる急性の症候群。
収縮期血圧90mmHg以下の低下を指標とすることが多い。
典型的には交感神経系の緊張により,頻脈,顔面蒼白,冷汗などの症状をともなう。
ショックの分類
近年、循環障害の要因による新しいショックの分類が用いられるようになり以下の4つに大別される。
循環血液量減少性ショック(hypovolemic shock):
・出血,脱水,腹膜炎,熱傷など
血液分布異常性ショック(distributive shock):
アナフィラキシー,脊髄損傷,敗血症など
心原性ショック(cardiogenic shock):
心筋梗塞,弁膜症,重症不整脈,心筋症,心筋炎など,
心外閉塞・拘束性ショック(obstructive shock):
肺塞栓,心タンポナーデ,緊張性気胸など
ショックの診断基準
「1.血圧低下」と「2.小項目のうち3項目以上」でショックと診断する
1.血圧低下
収縮期血圧 90 mmHg以下
○平時の収縮期血圧が 150 mmHg以上の場合:
平時より 60 mmHg以上の血圧下降
○平時の収縮期血圧が 110 mmHg以下の場合:
平時より 20 mmHg以下の血圧下降
2.小項目(3 項目以上を満足)
①心拍数 100回/分以上
②微弱な脈拍
③爪床の毛細血管のrefilling遅延(圧迫解除後 2 秒以上)
④意識障害(JCS2 桁以上またはGCS10 点以下),不穏,興奮状態
⑤乏尿・無尿(0.5 ml/kg/hr以下)
⑥皮膚蒼白と冷汗,または 39℃ 以上の発熱(感染性ショックの場合)
※ 血圧低下と小項目 3 項目以上でショックと診断する.
※ JCS:Japan Coma Scale,GCS:Glasgow Coma Scale
ショックを示唆する理学所見 「5P’s(それきみこ)」
そ:蒼白 pallor
れ:冷汗 perspiration
き:虚脱 prostration(元気がない、視線が合わない、反応がない、体がだらりとしている)
み:脈拍微弱 pulselessness
こ:呼吸促拍 pulmonary failure
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坂本 壮 (編集)(2021/7/12)
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