区別の必要性
・同じ血栓症でも動脈血栓症と静脈血栓症では病態が異なり、治療も異なる。
そのため両者は区別する必要がある
動脈血栓症
・血流が速い環境下における血栓症。
・血流が速いと、血小板が活性化されやすいという現象がある。
・血小板に対する「ずり応力(shear stress)」が血小板活性化のシグナルになること
が知られている。
・そのために、動脈では血小板の含有量の多い血栓(血小板血栓)が形成される。
・病理学的には血小板が白く見えますので、「白色血栓」ということがある。
・動脈血栓は血小板血栓が主体となることから、血小板の粘着・凝集を抑制する「抗血小板療法」が
主体となる。
・抗血小板療法としては少量アスピリンが頻用されているが、病態や基礎疾患により抗血小板薬の使い分けや併用が行われる.
静脈血栓症
・血流が遅い環境下における血栓症。
・血流が遅いと、凝固が活性化されやすいという病態が知られている。
・そのために、フィブリン(凝固活性化の最終産物)の含有量の多い血栓(凝固血栓)
が形成される。
・また血流が遅いと多くの赤血球(red blood cells:RBC)も巻き込まれ、
病理学的には赤血球が赤く見えるため「赤色血栓」ということがある
・静脈血栓に対しては凝固活性化を抑制する目的で、ワルファリンやDOACなどによる抗
凝固療法が主体となる。
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