脈圧
・脈圧とは「収縮期血圧と拡張期血圧の差」のことを指し,「1回心拍出量を反映」しています。
・脈圧×脈拍で心拍出量になるため,一般に脈圧が狭い場合(=低拍出状態)では,頻脈となって心拍出量を保とうとします。
・種々の理由での血管内脱水,大動脈弁狭窄症など心臓の問題,肺高血圧を来す状態など低拍出状態を説明できる病態の有無をチェックするとともに,徐脈性不整脈など,本来は頻脈になるはずがなっていないときは異常,ととらえられる。
① 脈圧が大きい場合(大脈圧)
・「SBPーDPB>SBPの50%」の場合、脈圧が大きい(大脈圧)とする
・「脈圧が大きい」とは「心拍出量が増加している、つまり体内でカテコラミンが放出されている状態」を示すため、注意を要する
・脈圧が広い場合は逆に,1回拍出量が多い状態(=Hyperdynamic state)の可能性を考える。この原因には発熱,貧血,妊娠に加え,甲状腺機能亢進症などがある
・そうした病態に合致せず,熱計表を使用した複数人の記録などにより再現性をもって脈圧の広さが認められる場合は,大動脈弁閉鎖不全症の可能性がある。
・また「発熱+脈圧上昇+血圧上昇」は敗血症の徴候の可能性があり、安易に解熱剤を使用すると血圧低下を来す可能性があるため注意を要する。
原因
・敗血症性ショック
・アナフィラキシーショック
・バセドウ病
・脚気
・大動脈弁閉鎖不全症
・大動脈硬化を伴う高血圧症
② 脈圧が小さい場合(小脈圧)
「SBPーDPB<SBPの25%」の場合、脈圧が小さい(小脈圧)とする
原因
・低循環性(前負荷低下):循環血液量の減少(出血、脱水)
・心原生(収縮力低下):心筋収縮力低下、大動脈弁狭窄症など
・閉塞性(前負荷低下):心タンポナーデ、収縮性心膜炎など
レジデントノート 2021年6月 Vol.23 No.4 血液ガス読み方ドリル〜すばやく正しく病態を掴む力を身につける
診察と手技がみえる (vol.1) 単行本 – 2007/12/4
古谷 伸之 (編集)
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