【定義】
・肘内障とは、幼児の肘関節の輪状靭帯と橈骨頭がはずれかける、いわゆる「亜脱臼」を起こしてしまった状。
・2-5歳の小児に好発。
・腕を真っ直ぐにしている時や、幼児が大人から衝動的に離れようとした時に、しばしば大人や、幼児より背の高い人に幼児の腕が引っ張られて生じる。 またなかには寝返りをきっかけに肘内障を起こすこともある。
【症状】
・肘内障を起こすと関節に痛みを伴うため、泣き出す子どもが多い。
・また肘内障を起こすと腕が動かせなくなるので、片腕がだらんと下がった状態になる。
・肘をやや曲げた状態でお腹の近くに腕を持ってくると痛みが軽減することがあるため、こうした姿勢を好んでとることもある。
・痛みは肘に限局されるため肘を動かすのを嫌がるが、その他の関節は問題なく動かせる。
【検査・診断】
・受傷機転がはっきりしない場合はX線検査が必要。
・受傷機転がはっきりしない場合はX線検査が必要。
・しかし、腕を引っ張ったという典型的な病歴で、局所に腫脹や発赤がなければ、肘内障と考えて検査は不要。
・X線をみる時は骨端核に注意し、骨折と間違わないこと。
参照(このサイトより引用):https://www.sakura-g-hiyoshi.com/blog/manipulative/464/
【治療法 】
徒手的な治療には回内法と回外・屈曲法がある。
参照:https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2011/PA02936_06
回内法(成功率88%)
・術者の母指は患者の橈骨頭に置く
・肘は軽度屈曲位
・前腕を回内、これと同時に前腕を長軸方向に牽引
・これでクリックを触知すれば整復完了。
・整復が不完全な場合が稀にあるため、回内したまま肘を屈曲
回外法・屈曲法(成功率74%)
・前腕を軽く牽引、幼児の手のひらが上に向くよう前腕回外
・その後さらに前腕を回外しつつ肘を屈曲。
< 回内法vs 回外・屈曲法>
・日本では「回外・屈曲法」のほうが広く知られており、かつては教科書などにもこの方法が掲載されていた。
・しかし、1998年に「回内法のほうが成功率が高い」と報告された。(Pediatrics. 1998[PMID:9651462])。
・そのため、成功率が高いとされる回内法から行う方がよいといわれれている。
・回内法で整復できなかった場合、「回外・屈曲法」をトライする方針で。
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