ガイドライン
NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)ガイドライン(改訂第 2 版)
概要
・NPPV (Noninvasive Positive Pressure Ventilation:非侵襲的陽圧換気 ) は、侵襲的気道確保(気管挿管)なしに行う人工呼吸法。
【良い適応】
・COPD急性増悪
・心原生肺水腫
これらで、100%酸素でも酸素化が上昇しない場合はNPPVの準備を!
※「バイパップ」≠「NPPV」≠「鼻マスク」
換気モードである「BIPAP(Bilevel Positive Airway Pressure)」はNPPVのみならずIPPV(Invasive Positive Pressure Ventilation:侵襲的陽圧換気療法)にも対応している。
NPPVには「鼻マスク」以外のマスクや接続方法もある。
また、NPPVにはBIPAPのように気道内圧を設定する“従圧式”だけでなく、換気量で設定する“重量式”の選択もある。
そのため、「バイパップ」、「NPPV」、「鼻マスク」の3つの言葉は同じではない。
しかし、商品名のBiPAP®はNPPV用の呼吸器で、NPPVは鼻マスクを用いることが多いので、「バイパップ」「NPPV」「鼻マスク」はほぼ同義語として用いられている。
【特徴】
一般的な適応
一般的な禁忌
・非協力的で不穏な場合
・気道が確保できない場合
・呼吸停止、昏睡、意識状態が悪い場合
・循環動態が不安定な場合
・自発呼吸のない状態での換気が必要な場合
・最近の腹部、食道手術後の場合
・顔面の外傷、火傷、手術や解剖学的異常でマスクがフィットしない場合
・ 2 つ以上の臓器不全がある場合
・心筋梗塞が起こりつつある場合、不安定狭心症の場合
・咳反射がない、または弱い場合
・ドレナージされていない気胸がある場合
・嘔吐や腸管の閉塞、アクティブな消化管出血がある場合
・大量の気道分泌物がある、または排痰ができない場合
→ 胸郭の動きを注意深く観察
NPPVを行っても呼吸状態が悪化する場合(頻呼吸、呼吸補助筋の使用、低酸素血症、高二酸化炭素血症、頻脈、不穏などが改善しない)、開始から2〜4時間後の血液ガス所見で改善がみられないときは、通常、気管挿管が必要。
【初期設定】
1)心原生肺水腫
・CPAPモードにする。
・初期設定:CPAP 4cmH2Oから開始。
・低酸素血症がある場合は5~10㎝H2Oまで上げる。
2)COPD急性増悪(PaCO2上昇時)
・Bi-level PAP(Bi-level positive airway pressure:2相性気道陽圧)モードにする。
・吸気時にIPAP (inspiratory positive airway presure)をかけ, 呼気時にEPAP(expiratory positive airway presure)をかける。
・IPAPをかけると,1回換気量が増えPaCO2が低下する。 EPAPをかけると,酸素化が改善しPaO2が上昇する。
・侵襲的人工呼吸器でいえば, IPAP‐EPAP は Pressure Supportに 相当し,EPAPはPEEPに相当する
・初期導入設定圧は,IPAP 8 cmH2O,EPAP 4cmH2Oを基本(PS =4㎝H2O)。
・最終的には、IPAP =EPAP+5 ~10cmH2O、最大でIPAPは20㎝H2Oまで。
コメント