① まずはバイタルサインのチェック
・まずは脈拍を触知し、意識以外のバイタルサインが概ね安定していれば「止めてよい痙攣」と考える。
・「急性症候性発作」や「症候性てんかん」では、通常血圧は上昇(頭部CT!)
・血圧が低い場合はVFなどの循環障害を考える(心電図!)
② ABC確保
A:場合によっては口腔エアウェイ、鼻腔エアウェイを挿入(参照:エアウェイの挿入(口咽頭、鼻咽頭))
B:ジャクソンリース付きマスクで酸素投与開始。呼吸補助。
C:心電図と血圧モニター、ルート確保
③ 血糖(低血糖)測定
・まずは低血糖の除外!
・低血糖を除外できない場合は、ジアゼパムに先立ち
ビタミンB1(チアミン®) 100㎎静注
+50%ブドウ糖50mLを静注
痙攣の原因は「頭蓋内疾患」や「てんかん」とは限らない
・痙攣の原因は多岐に渡る
・特に「失神による痙攣(convulsive syncope)」は常に意識する必要がある。
・convulsive syncopeとは、不整脈など心臓由来の脳血流低下に伴う痙攣をいう。
・一般的には左右対称性の痙攣で、閉眼していることが多い。
・血圧が低いことが多い
・薬剤投与前に、臥位にして下肢を挙上し、細胞外液を点滴する
④ 「止めていい痙攣」の場合
ジアゼパム(セルシン®ホリゾン®:5mg/1mⅬ)
5mg(1mⅬ)を静注、3~5分毎に、痙攣が止まるまで(または総量20mgまで)
※ジアゼパムの筋注は効果発現が遅く、ばらつきが大きいので勧められない
※生食などに溶解してはダメ!!(過飽和状態となり、沈殿が生じる)
※通常1分程度で効果出現。20分程度で効果消失
※ 静脈路が確保できない場合
1)ミダゾラム0.5%注射液(ミダゾラム®、ドルミカム®:10mg/2mⅬ)
筋注
体重40㎏以上なら10mg(2mⅬ)
体重13~40㎏以下なら5mg(1mⅬ)(小児0.3mg/kg)
あるいは口腔、鼻腔内投与
10mg(2mⅬ)(小児0.3mg/kg)
2) ジアゼパム注射液を注腸(セルシン®、ホリゾン®:5mg/1mⅬ)
注射液 0.2~0.5㎎/㎏(10~30㎎)注腸(小児0.5㎎/㎏)
静脈留置カテーテルにて注入
3) ゾラム口腔用液(ブコラム口腔用液®)
2.5mg(0.5ml)、5mg(1.0ml)、7.5mg(1.5ml)、10mg(2.0ml)製剤
通常、修正在胎52週(在胎週数+出生後週数)以上1歳未満:1回2.5mg
1歳以上5歳未満:1回5mg
5歳以上10歳未満:1回7.5mg、
10歳以上18歳未満:1回10mg
(18歳以上の患者に対する有効性及び安全性は確立していない)
「痙攣重積状態」の定義
・5~10分以上持続する発作
・意識が回復せず発作を繰り返す状態
↓
⑤ 再発予防、けいれん重積(痙攣が止まっても、止まらなくても)
ホスフェニトイン(ホストイン®)
・フェニトインのプロドラッグ(早い速度で投与可能、組織障害が少ない)
・ガイドラインで推奨
・ホスフェニトイン注(750㎎/10ml/V)
1回22.5mg/kg(体重50kgで1125㎎)を生食100mLに溶いて、10分かけて点滴静注
・効果は20~30分で出現
・痙攣が止まれば、12時間毎に0.5Aを10分かけて点滴静注、以降24時間毎に0.5Aずつ投与
レベチラセタム(イーケプラ®)
①経口投与から切り替える場合:
・経口投与と同じ1日量及び投与回数
・1回量を15分かけて点滴静注
②経口投与に先立ち投与する場合:
1回500 mg を1日2回, 最大1回1,500 mg を1日2回まで
1回量を15分かけて点滴静注。
※増量は2週間以上の間隔をあけて1日1000 mg 以下ずつ
例)
30分ペースで点滴静注 1日2回
・内服可能なら経口投与へ切り替える
・血圧低下や呼吸抑制が少ない
フェノバルビタール(フェノバール®)
・フェノバール®1/2A(50㎎)1日1~2回 筋注または皮下注
・呼吸抑制が強いため、投与後のバイタルサインに注意
フェニトイン(アレビアチン®) ※副作用や使用上の注意点が多く、あまり使用されない
→心電図モニターしながら!
例)体重50㎏の人:
↓
その後:
翌日から、アレビアチン®250㎎(5~7.5㎎/Kg)+生食100mL
1日1回点滴静注
それでも止まらない場合
・それでもダメなら、気管挿管、神経内科コンサルト
・ミダゾラム(ドルミカム)、フェノバルビタール(フェノバール®)、プロポフォール
例)
フェノバール注(100㎎ / 1mL)通常成人1回50〜200mgを1日1〜2回、
皮下又は筋肉内注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
痙攣の原因鑑別のための検査
血糖
心電図、胸部X線
電解質(Na,Ca,Mg)
CK
肝機能
腎機能(尿毒症)
アンモニア(肝性脳症)
ビタミンB1(Wernicke脳症)
血ガス(乳酸値→代謝性アシドーシス)
・乳酸値:静脈血の乳酸値>2.5mmol/Lで痙攣の感度73%、特異度97%
痙攣の乳酸値は痙攣消失後、速やかに低下する(1時間後も高値の場合は他の疾患を考える)
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