小児腹痛診察時の心得
反応がない場合はもう一度同一量で実施
※ 鼠径部、陰部をかならず確認すること(ヘルニア、精巣)
小児腹痛6大疾患
虫垂炎
・「右下腹部触診にて少しでも疼痛がある」場合は鑑別に上げること。
・学童>思春期>乳幼児
ピークは9~12歳。2歳未満はほとんどない
・腹痛が嘔吐に先行(腹痛→嘔吐→右下腹部痛→発熱の順)することが多い
(Abdominal Pain→Emesis(嘔吐))なので、AP(P)Eと記憶する)
・発熱は症状発症から24~48時間経過後に現れることが多い
・psoas sign(腸腰筋徴候):特異度 95%(あれば疑わしい)
左側臥位で右下肢を伸展させ、検者が他動的に右股関節を伸展させる。
→痛みが増強すれば、腸腰筋が化膿した虫垂に当たっていると診断する
深い虫垂でも分かる。
感度 16%、特異度 95%(あれば疑わしい)
・Rovsing sign:
左下腹部を圧迫すると、右下腹部の痛みが増強する
<Pediatric Appendicitis Score(PAS)>
・右下腹部痛:2点
・咳・跳躍・打診による叩打痛:2点
・嘔気・嘔吐:1点
・食欲不振:1点
・発熱(38℃以上):1点
・白血球数増加(10000/mm3以上):1点
・左方移動(好中球7500/mm3以上):1点
虫垂炎エコー所見:
・圧迫で潰れない(一番痛い所)・蠕動なし
・直径≧6㎜で疑い(≧10㎜なら確実)
・虫垂内糞石があれば、径に関係なく陽性(糞石を認めるのは25%程度)
腸重積
・2歳未満、多くは10か月前後の乳児
・回腸末端が結腸に重積するパターン(回腸結腸型)がほとんど
・不機嫌、嘔吐、間欠的啼泣、血便
・腹部エコーで、回盲部から上行結腸、横行結腸、下行結腸に沿って「コの字」にプローブを当てて走査する
・右上腹部腫瘤(腹部エコーでtarget sign、pseudokidney sign)
鼠径ヘルニア
・1歳以下男児
・陥頓した場合、3~4時間で壊死に陥る(いつから不機嫌になったか確認)
・ほぼ100%完納可能である
精巣捻転
参照:急性陰嚢症
・思春期に多いが、あらゆる年齢で発症する(思春期と新生児の2峰性)
・通常は突然発症。
・朝勃ち、外傷
・以前にも同様の症状があることがある
・持続性の下腹部痛(精巣はTh10~12支配。Th10~Th12の関連痛として下腹部痛が出現)
・腫脹、精巣の位置異常(高位)、圧痛(自分でつまんでもらってもよい)、嘔気嘔吐、精巣に硬結を触れる
・診察は立位で。精巣の軸が横になっている。
・精巣挙筋反射(上がって下がる)が消失
・エコーで「ねじれ」「血流低下(下から両方同時に当てる)」
・観血的整復が原則。冷却して泌尿器科へ搬送
IgA血管炎(アレルギー性紫斑病)
・3~10歳
・症状:
絞扼性腸閉塞
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