特徴
・若年発症(10~30代)
・女性に多い
・発作の誘因:
月経、ストレス、睡眠不足、チョコレート(チラミン)、チーズ(ヒスタミン)、赤ワイン(ヒスタミン)など
・嘔気あり
・持続時間は4~72時間
・一般的には拍動性
・片側性は半数
・光過敏、羞明(しゅうめい)
・音過敏、
・前兆(30%)
視覚障害(閃輝暗点、視野狭窄)
感覚障害(チクチクした感じ)
失語性言語障害
・日常的な動作で増悪、日常生活を妨げるような頭痛
・アロディニア(痛覚過敏):34~62%で出現
片頭痛がある側の頭を下にして眠れない
頭部以外のアロディアは片頭痛の側に関係なく出現する
頭痛がない時でも起こりうる
アロディニアがある場合、トリプタン製剤が効きにくい傾向があり
・トリプタンに対する治療抵抗性や慢性化の予測因子となる
「POUNDing」:4つ以上でLR+24
P : Pulsation(拍動性、ただし半数のみ)
O : hOur duration 4~72h(持続時間4~72時間)
U : Unilateral(片側性)
N : Nausea(悪心、嘔吐)
D : Disabling(日常生活に支障あり)
頭痛ダイアリー
・『頭痛ダイアリー』とは、日本頭痛学会が推奨する「頭痛発作の発症とその前後の生活について記録する日記帳」をいう
・基本の記録内容は、
日付
頭痛の有無と程度
生活への影響度
その他のメモ
であり、女性の場合は生理についても記録する。
・特に「その他のメモ」では、気になったこと、たとえば「どのような頭痛だったか」「前ぶれや吐き気はあったか」「生活の変化や誘因」などを書き留めてもらう。
・またトリガーとなる食材を知るために、食事についても書くことも推奨する。
・この記録を続けていくことで、頭痛そのトリガーをあぶり出すことができます。
治療
生活指導
・トレスなどの軽減のため生活習慣見直しや運動の指導
・頭痛発作に対して「頭痛日記(頭痛ダイアリー)」をつけさせる。
・肥満は片頭痛の重症度や頻度との関連が指摘されており、減量を勧める
・カフェインを控える
・「前兆のある片頭痛」では経口避妊薬は血栓症や脳梗塞のリスク上昇の危険性があり原則禁忌
予防投与
・月に2回以上の片頭痛発作がある場合、あるいは生活に支障をきたす頭痛が月に3日以上ある場合、急性期治療(トリプタンやNSAIDs)のみでは日常生活に支障がある場合、急性期治療薬を使用できない場合、永続的な神経障害を来す恐れのある特殊な片頭痛の場合には、予防療法が適応となる。
・有効性、有害事象のリスクなどに関するエビデンスを考慮し、個々の患者に合った予防薬を選択する。
・ロメリジン(ミグシス®)、バルプロ酸(デパケン®)、プロプラノロール
・サプリ、自然食品:
ビタミンB2、夏白菊(なつしろぎく)、マグネシウムは予防効果が期待できる
治療薬
発作時
※NSAIDの積極的な投与は、やがてNSAIDsによる薬剤乱用性頭痛を引き起こす可能性もあり推奨されない
・NSAIDs無効や、中等度以上の症状であれば、トリプタン製剤使用
・トリプタン製剤では、速効性のリザトリプタン(マクサルト®)がfirst choice。
その他スマトリプタン(点鼻、皮下注)
・軽症でもプリンペラン静注併用が有効
例)
・マクサルト(10㎎)1回1錠頓用 2時間以上あけて(1日最大2錠)
・イミグラン(50㎎) 1回1錠頓用 2時間以上あけて(1日最大4錠)
・スマトリプタン(イミグラン)3㎎ 皮下注
+プリンペラン(10㎎)1A 静注
予防薬
・βブロッカー
・バルプロ酸
・トピラメート
・抗CGRP製剤
薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛、medication overuse headache:MOH)
・薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛、MOH)とは、鎮痛薬を頻繁に摂取することで発生する頭痛である。
・典型的には、片頭痛や緊張型頭痛に対して頭痛薬を摂取することが慢性化し時間をかけて転換していった状態である。
MOH診断基準
A.以前から頭痛疾患を持つ患者において、頭痛は1ヶ月に15日以上存在する
B.1種類以上の急性期または対症的治療薬を3ヶ月を超えて定期的に乱用している
C.他に最適なICHD-3の診断がない
※以前の診断基準では、薬剤中止による頭痛の改善が必要であったが、新付録基準ではなくなり、薬物乱用があれば診断できるようになった。
治療
基本的には、鎮痛薬の中止である。
medicina(メディチーナ) 2019年 増刊号 特集 一人でも慌てない! 「こんなときどうする?」の処方箋85
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