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BPPV(典型的眼振、中枢性眩暈の除外)

まずは『中枢性めまい』の除外から!

・めまいの4D:

構音障害(dysarthria)
嚥下障害(dysphagia)
複視(diplopia)
感覚障害(dysesthesia)

の問診を!

・その他:

「頭痛」

「体幹失調」(歩けない眩暈は帰すな!):SCA / PICA梗塞

「聴力障害」(難聴、耳閉、耳鳴り)

「持続性のめまい」:HINTSの確認へ

(参照:「HINTS(末梢性めまいか中枢性めまいかの鑑別)」

 1つでもあれば中枢性を疑い画像へ!

 

BPPVの特徴

・救急を訪れる「めまい」の約半数がBPPV

頭位変換によって誘発される、持続時間が1分以内と短いめまい

・後半規管型が60%、水平半規管型が30%、前半規管型が1%程度

・頭位変換時に生じる

・数秒の潜時の後、持続は30秒~1分以内(じっとしていれば治まる)

・BPPVの最大の特徴は、めまいの持続時間が1分程度と非常に短いこと

「楽な姿勢で安静にしていれば、1分程度でめまいは治まる」:この病歴が確認できればBPPVと考えてよい

眼振は安静時には認めない誘発試験で出現する):安静時に眼振があればBPPVではない

・患側耳懸垂で前額→耳方向に回旋性成分を伴った向地性眼振

・座位、前傾で反対方向の眼振

(↔これらが全てなければ中枢性眩暈を考える必要あり)

・1/4の症例では眼振がみられないことがある

 

1)後半規管型BPPV

・Dix-Hallpike法で診断

・Epley法での治療中に水平半規管型に移行することがある(5%程度)

 

2)水平半規管型BPPV

・水平半規管型はBPPVの30%を占める

・外側半規管は水平ではなく、やや前上に30°傾いている

→枕をして頭を30°上げると地面に垂直になって耳石が動かしやすくなる

 

supine roll test

・仰臥位で顔を90°横向きに向ける

・外側半規管型BPPVでは、右下頭位と左下頭位で方向が逆転する方向交代制眼振が見られる

1)浮遊結石による水平半規管型BPPV
・左右とも、床向きに眼振が出現(Geotropic type :向地性⽔平半規管型BPPV)
・横向き頭位で眼振、症状が強い時に下にある方(または30°前屈位で眼振が向かう方)患側
(「geotropicはgreat(強い)方が患側」と覚える)

 

2)クプラ結⽯症による水平半規管型BPPV

・左右とも、天井向きに眼振が出現(Apogeotropic type :背地性⽔平半規管型BPPV)

・横向き頭位で眼振、症状が弱い時に下にある方(または30°前屈位で眼振が向かわない方患側

(「apogeotropicはambiguous(曖昧、弱い)方が患側」と覚える)

※潜時がなく、持続時間が長い

※ 背地性は難治性

※ 背地性は中枢性の可能性もあり(方向交代性背地性眼振の場合に、潜時を伴わず頭位置換直後に眼振の方向がかわったら、BPPVではなく小脳病変の可能性がある)

 

⽔平半規管型BPPVに 対する⽿⽯置換法(Gufoni法)

1.)眼振が弱い⽅の向き(向地性なら健側、背地性なら患側)へ倒れて2分

2.)向地性なら45°床側、背地性なら45°天井向き(つまり眼振の向き)に顔を向け、2分

3.)その後、座位に戻る
(1時間以内の改善率 1回で改善 48.4% 2回以内で改善 60.9%)

 

耳石置換術後の療養指導

・外側半規管型でも後半規管型でも、耳石置換術をした後は、なるべく患側下頭位を避けるよう指導する

・同一体位を保持する癖や習慣(例えばテレビを見る時に必ず右を向いて寝ている、など)はBPPVのリスクになるため、避けるよう指導する

 

予後

・再発が多く、年間約15%程度で、10年間で5割が再発する

・再発の危険因子は女性、外傷や内耳疾患、骨粗鬆症、水平半規管型、3回以上のBPPVなど

 

 

参考文献

 

レジデントノート 2022年8月 Vol.24 No.7 めまい診療 根拠をもって対応できる!〜“何となく”を解消!救急でよく出合う疾患の診断ポイントと原因を意識した処置、フォロー・再発予防

 

 

 

 

 

レジデントノート 2020年5月 Vol.22 No.3 輸液ドリル〜実践に役立つ基本がわかる問題集

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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