問診事項
・薬物(サプリメントを含む)の服用歴(特に半年以内の服用薬)
・アルコール摂取歴(1日あたり男性30g、女性20g以上は有意とされる)
・体重変化(BMI25以上で肥満)
・肝疾患の既往(もともと肝機能障害を指摘されていることも多い)
・併存疾患
スクリーニング検査
肝機能障害がある場合は、以下をルーチンとして検査する
① ウイルスマーカー
・HBs抗原、HCV抗体
② 自己抗体(自己免疫性肝疾患の検索)
・抗核抗体、抗ミトコンドリアM2抗体(原発性胆汁性肝炎:PBC)
③ 脂質代謝、糖代謝
・脂質異常症、糖尿病の検索
④ ガンマグロブリン(IgG, IgA, IgM)
・自己免疫性疾患(AIHなど)を疑う時
⑤ 腹部エコー検査
・脂肪肝の有無
・肝臓、脾臓の大きさ
・腹水の存在
・肝臓の結節の有無など
肝機能障害の初期対応
・まずは肝細胞の障害(肝細胞の変性壊死:AST、ALT)か、胆管細胞の障害(胆汁うっ滞:ALP、γ-GTP)かを鑑別
・「上限値の2倍以上」で有意な上昇と判断
・高度な肝障害(AST、ALTが基準値の5倍以上や黄疸を認める場合、有症状)を認める場合は、専門医へ早々に紹介する(肝不全のリスク)
肝細胞障害型:
・ウイルス性肝炎
・自己免疫性肝炎(AIH)
・NAFLD
AST優位、γ-GTP上昇を伴う
体重増加、メタボを背景
・薬剤性肝障害
など
胆汁うっ滞型:
・原発性胆汁性胆管炎(PBC)
自己免疫性の胆管細胞障害、慢性の胆汁うっ滞疾患
脂溶性ビタミンの吸収障害に基づく骨粗鬆症
胆管癌の併発に注意
・原発性硬化性胆管炎(PSC)
・薬剤性肝障害 ※肝細胞障害型もとる
肝機能検査項目
AST、ALT
・AST、ALTは肝細胞の障害、変性壊死を反映
・ASTは肝臓以外にも存在するが、ALTはほぼ肝細胞由来
・1000以上では薬剤性、虚血性、急性ウイルス性肝炎を考える
・アルコール性ではASTが高くなる
ALP、γ-GTP
・ALP、γ-GTPは胆管の障害を反映
・γ-GTPはほぼ肝臓由来
・ALPがγ-GTPと同時に上昇していれば、ALPは肝臓由来と判断してよい
・γ-GTPはアルコール性肝障害のほぼ全例、あるいはある種の薬物性肝障害や慢性肝炎でも上昇する
・肝型ALPが高値にも関わらず、ビリルビンが上昇しない場合は、肝内占拠性病変や細胆管炎、浸潤性肝疾患などを疑う
・ALPのみが上昇している場合は肝臓以外で、骨型や小腸型が上昇している可能性が高い
T-bil
・胆汁うっ滞
血小板数
・血小板数低下は肝予備能の低下や線維化の指標(線維化マーカー)となる
アルブミン、PT
・肝合成能の検査
Fib4-index(肝線維化マーカー)
・NAFLDにおいて算出
・1.3以上が専門医への紹介基準
コメント