腰痛症（red flag sign）

腰痛の疫学

・腰痛の罹患率

有訴率：40～50％

既往歴：70～80％

・急性腰痛の70％は原因不明の非特異的腰痛（3週間以内に自然軽快）

・原因疾患の97％は整形疾患、2％が腹部内蔵疾患、1%が脊椎がんや炎症性関節炎、感染症

まず除外すべき鑑別疾患

大動脈解離、腹部大動脈瘤、尿管結石、腎盂腎炎、急性膵炎など

腰痛のred flag sign

突然発症

・急性脊椎硬膜外血種（特に抗血小板薬や抗凝固薬内服中）

・腎梗塞（心房細動既往）、出血

・副腎出血

・AAA破裂

胸痛の合併

・大動脈解離

発熱

・炎症

・感染症

参照：化膿性脊椎炎（椎間板炎？椎体炎？）

年齢＜20歳：採血必要

・腰椎すべり症、腰椎分離症、悪性疾患（白血病、リンパ腫、類骨骨腫など）、感染症

年齢＞50歳：採血必要（CRP、sIL-2R、PSAを含む）

・悪性疾患（多発性骨髄腫、転移性骨腫瘍、悪性リンパ腫など）、骨折、腹部大動脈瘤

年齢＞70歳

・圧迫骨折（きっかけがなくても疑う）

夜間の安静時痛（寝返りの時ではない）

・悪性腫瘍

・炎症

時間や活動性に関係のない腰痛

・悪性疾患、感染症（化膿性脊椎炎、結核性脊椎炎、硬膜外膿瘍）

脊椎の打痛

・圧迫骨折を疑う

がん、ステロイド、HIV感染の既往

・悪性疾患、病的骨折、感染症

・Th5以上の椎体骨折は癌転移を疑う

栄養不良、体重減少

・悪性疾患（多発性骨髄腫、転移性骨腫瘍、悪性リンパ腫、等）

広範囲に及ぶ神経症状、サドル麻痺

・椎間板ヘルニア、馬尾症候群

構築性脊椎変形

・側弯症、後弯症

急性腰痛の予後、治療

・red flagsがなければ4～6週間の保存治療を行い、改善しなければ精査を行う

（3割は1週間で治る。9割は2週間で治る）

・red flagがなければ1か月間は画像診断不要

・NSAIDs

・痛ければ2日以内のベッド安静

・原因不明の非特異的腰痛の急性期では「痛みに応じた活動性維持」

・軽い運動（ウォーキング、水泳、自転車）

・認知行動療法（亜急性、慢性）

・腰椎コルセット（急性、亜急性）