一酸化炭素中毒とは
一酸化炭素中毒とは
一酸化炭素は不完全燃焼状態で炭素化合物が燃焼する際に発生し、無色・無臭で、その存在が感知しにくい気体ですが、空気とほぼ同じ重さ(比重(空気を1としたときの重さ):0.967)で、強い毒性を有しています。
一酸化炭素は、赤血球中のヘモグロビンと結合しやすく、このため一酸化炭素を吸入すると血液の酸素運搬能力が下がることにより一酸化炭素中毒が起きます。
一酸化炭素中毒は、軽度の頭痛、吐き気等からはじまり、その後、昏倒、致命傷に至るため、無意識のうちに被災するという特徴があります。
災害が発生しやすい場所としては、換気が不十分な場所における火気の使用や、冬場の土木作業におけるコンクリート養生作業、トンネル等におけるガソリンエンジン、発電機の使用、換気の悪い場所でのエンジンの空ふかしなどがあります。
一酸化炭素中毒の防止
一酸化炭素中毒を防止するためには、火気や内燃機関を使用する際は換気を十分に行うこと、地下室やトンネル内等で十分な換気ができない場所ではこれらを使用しないことが重要であり、動力を必要とする場合には事前に綿密な安全対策を立て、関係者間で十分に連絡をとりながら作業を行うことが強く望まれます。
事務所衛生基準基則
換気(一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率)
事務所衛生基準基則第3条第2項
事業者は、室における一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率(1気圧、温度25度とした場合の空気中に占める当該ガスの容積の割合をいう。以下同じ。)を、それぞれ百万分の50以下及び百万分の5000以下としなければならない」とある。
※ 日本産業衛生学会の二酸化炭素の許容濃度も5,000ppm
健康障害
・吸入すると、血液中にカルボキシヘモグロビン(COHb)が増加し、神経系、循環器系に影響し、知力、運動能力、聴力などが低下する。
・症状は吸入した量によって悪化する。
・長期暴露で、心臓、血液系に影響が認められる。
症状
・頭痛(90%)
・嘔気嘔吐(47%)
・倦怠感(53%)
・頻呼吸(40%):しかしSpO2の低下がない
・失神(6%)
【ウイルス性疾患との鑑別点】
CO中毒は
・発熱がない
・一緒にいた人やペットも同じ症状がある。
・新鮮な空気の下に行くと症状が軽快する。
・体が煙や煤臭い
【検査】
・血液ガス分析でCO-Hb測定(動脈血でも静脈血でもよい)
※ 正常値
非喫煙者:1~3%
喫煙者:4~5%
ヘビースモーカー:9~15%
喫煙者では高めに出る
時間と共に低下する
症状や重症度と相関しない(組織中に移行するため)
・心筋虚血の有無の確認
心電図、心筋トロポニン
【治療】
1.大気圧下100%酸素吸入
→CO-Hbが正常化するまで、または6時間以上
2.高圧酸素療法
意識障害、精神状態変化、心筋虚血の所見(胸痛、トロポニン上昇、心電図変化)、アシデミアなどを総合的に判断
【後遺症】
遅発性脳症(DNS:delayed neurologic sequelae)
・回復後、2日~4週間の無症状期を経て、遅発性の精神・神経症状を呈する
→CO中毒の診断が付いた人には、必ずDNSの可能性を説明すること。
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