ガイドライン
胃食道逆流症 (GERD) 診療ガイドライン 2021 の概説
胃食道逆流症と逆流性食道炎の違い
・胃食道逆流症(GERD)は広い概念で、逆流による不快な症状や合併症があるもの全般を指します。一方、逆流性食道炎はGERDの中でも食道粘膜に炎症(びらんや潰瘍)が確認された状態だけを指します。
胃食道逆流症について(ドック学会専門医試験):
胃食道逆流症について(ドック学会専門医試験):
・発症の機序として、「一過性の下部食道括約筋弛緩」、「腹圧上昇(筋力トレーニング、激しい運動」、「下部食道括約筋圧の低下」の3つの機序がある。胃食道逆流症の原因うち90%は「一過性の下部食道括約筋弛緩」である。
・脂肪摂取増加は胃食道逆流を誘発する。
・胃食道逆流の症状改善に効果があるのはアルギン酸塩、制酸剤である。
・重症逆流性食道炎の初期治療としては、ボノプラザン(P-CAB)20mg/日を4週間投与することが勧められており、ランダム化比較試験を含めた検討では通常のPPIよりも治癒率が高いことが示されている。
病型
・食道粘膜障害を有する「びらん性GERD」と、症状のみを認める「非びらん性GERD(non-erosive reflux disease:NERD)」に分けられる
ロサンゼルス分類(逆流性食道炎の内視鏡分類)
・逆流性食道炎の内視鏡分類
・食道炎の程度を6段階にわけています(表1、図1参照)。
・視鏡での重症度は粘膜障害の拡がりの程度によりグレード別にN・M・A・B・C・Dとに分類。
N:症状が出ていても、内視鏡検査上では炎症がなく、正常な食道の状態。
M:粘膜の炎症はないけれど、粘膜が赤みを帯びている状態。
A(軽症):直径5mm未満の粘膜の炎症で、粘膜のヒダの一部分のみに炎症が見られるもの
B(軽症):直径5mm以上の粘膜の炎症で、複数の粘膜のヒダに炎症が見られるが、その炎症が連続していない状態
C(重症):粘膜の炎症が複数の粘膜のヒダに、連続して広がっている状態。
D(重症):全周の75%以上に粘膜の炎症ができている状態を言います。
生活指導:PPI投与に並行して行うこと
●タバコ、アルコールを避ける(下部食道括約筋圧低下)
●夜間臥床時15~20㎝頭部挙上(ベッドの頭側の脚の下に台を置く、マットの下に発泡スチロールの楔を置くなど)
●食後すぐに横にならない(就寝時刻2~3時間以内の食事摂取を控える)
●減量(体重増加はGERDのリスクが増加)
●食事指導:以下の物は避ける
・過食を誘発する食事(カフェイン、チョコ、ペパーミント)(下部食道括約筋圧が低下)
・辛い食べ物(粘膜傷害をきたす)
・高脂肪食品、糖類を多く含む食物(食物の胃内停滞時間が延長する)
・炭酸飲料、柑橘系(pH低下)
●牛乳は酸緩和に良い
薬物療法
・アルギン酸塩(アルロイドG)
・軽症例:PPI
・重症例:P-CAB(ボノプラザン(タケキャブ®))
PPIより治療効果が高い
重症逆流性食道炎の初期治療に使用
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