発熱以外の症状がみられない場合は?
発熱以外の随伴症状が乏しい小児疾患
突発性発疹
副鼻腔炎
髄膜炎
心筋炎
骨髄炎
関節炎
川崎病
生後3か月未満児は注意!
・発熱以外にあまり症状がみられないことがある。
・生後3か月未満児の発熱では重症感染症(主に尿路感染症、髄膜炎、菌血症)の可能性がある
・髄膜炎は項部硬直がはっきりしない(→抱っこしてあやすと機嫌が悪くなる場合には髄膜炎を疑う)
→導尿して「尿検査、尿培養」、「血培」を採取
発熱のみでその他の症状がみられない場合は「穴(孔)を探せ!」
1)耳孔→中耳炎
・鼻水を垂らしていた子が耳を気にするようになったら疑う
・問診で「耳をきにしていませんか?」と確認する
2)尿道口→尿路感染症
・オムツの尿色や臭いの変化を確認
特に注意すべき3疾患
1)髄膜炎
・1歳未満(7~9か月)に多い。
・起因菌:インフルエンザ桿菌、肺炎球菌
・ワクチン接種歴を確認
・症状:
顔色不良、ぐったり
嘔吐(発熱後2日以内に急速に状態悪化)
大泉門膨隆
項部硬直(18か月未満だと評価困難)
2)occult bacteremia
・3歳未満、39℃以上の発熱をきたすが、感染源がはっきりしない
・肺炎球菌が最多、ついでインフルエンザ桿菌。
・菌血症、髄膜炎への移行はインフルエンザ桿菌が多くなる
・ワクチン接種歴を確認
3)尿路感染症
・どの年齢でも、熱発時には可能性を考慮
・特に6か月未満の男児に多い
・大多数は大腸菌が原因
検査
・排尿が自立している小児では成人と同様,中間尿を採取する
・排尿自立前の 3 歳未満の乳幼児では,カテーテルで無菌的に導尿した尿,またはクリーンキャッチ尿(自然排尿した尿を清潔に容器に採取した尿)が推奨される.
・膀胱穿刺による採尿は診断精度が高いが,侵襲的であるため一般的ではない .
・なお,わが国でよく行われるビニール製の採尿バッグによる乳幼児の採尿は,得られた検体の尿培養の偽陽性率 7.5%,偽陰性率 29%と,診断精度が低いため推奨されない
・一般には陰部を消毒後の中間尿・カテーテル尿が望ましい。
・導尿して尿検査(定性、沈査)、グラム染色、尿培養提出
治療
1)グラム染色でグラム陰性桿菌が見えた場合
・セファゾリン100㎎/kg/日(1回33㎎/kg 1日3回8時間毎)
・セフォチアム(第2世代)80㎎/kg/日(1回20mg/kg 1日4回6時間毎)
7~14日間
2)グラム染色でグラム陽性菌が見えた場合
・アンピシリン(ビクシリン®)100mg/kg/日(1回25㎎/kg、1日4回6時間毎)
抗菌薬ドリル 実践編〜臨床現場で必要な力が試される 感染症の「リアル」問題集
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