ペニシリン系抗菌薬とは?
・βラクタム系抗菌薬の一種
・大きく以下4つのグループに分類する:
② アミノペニシリン(アモキシシリン、アンピシリン)
③ ピペラシリン
④ βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン
① ペニシリンG(PCG)
・黄色ブドウ球菌(MSSA)を除くグラム陽性球菌に有効
※MSSAはすぐにペニシリナーゼを産生する株が出現し耐性となったため。
(ちなみにMSSAの第1選択は第1世代セフェムのセファゾリン(CEZ))
・A群β溶連菌に対する第1選択薬(A群β溶連菌による急性咽頭炎)
・緑色連鎖球菌による感染性心内膜炎に有効
有効な菌
・肺炎球菌
・連鎖球菌(A群β溶連菌、緑色連鎖球菌)
・腸球菌
・リステリア(グラム陽性桿菌)
・横隔膜から上の嫌気性菌(口腔内:アクチノミセス、フソバクテリウム)
には有効
無効な菌
・ブドウ球菌
・グラム陰性桿菌(大腸菌)
・横隔膜から下の嫌気性菌(バクテロイデス・フラジリス)
には無効
② アミノペニシリン:アモキシシリン(AMPC:サワシリン®)、アンピシリン(ABPC:ビクシリン®)
・ペニシリンGにアミノ基が一つ追加された構造(スペクトラムはほとんど変わらない)
・PCGに一部のグラム陰性桿菌(大腸菌、インフルエンザ桿菌)のカバーが加わる
・大腸菌のカバーは率は50~60%程度
・大腸菌による尿路感染症、インフルエンザ桿菌による中耳炎、副鼻腔炎など
・アモキシシリン(AMPC)は経口(サワシリン®)、アンピシリン(ABPC)は静脈投与(ビクシリン®)
・アンピシリン(ABPC:ビクシリン®)はリステリアをカバーする(髄膜炎)
③ ピペラシリン(PIPC)
・緑膿菌をカバーする(緑膿菌専用と覚える)
④ βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン
・アミノぺニシンにβラクタマーゼ阻害薬を配合したもの
・アミノぺニシンに加え、ブドウ球菌(MSSA)、大腸菌(60~70%)、横隔膜から下の嫌気性菌もカバーする
・3種類
・ ABPC/SBT(アンピシリン/スルバクタム):ユナシン®、スルバシリン®(静注)
・ PIPC/TAZ(ピペラシリン/タゾバクタム):ゾシン®、タゾピペ®(緑膿菌カバー)
適応
・誤嚥性肺炎(口腔内連鎖球菌+口腔内嫌気性菌);よい適応
・蜂窩織炎(セファゾリンが使えない時)
・嫌気性菌合併皮膚軟部組織感染症(動物咬傷)
耐性化
・一方でグラム陰性桿菌(大腸菌)に対する耐性化がすすんでしまっている(60~70%のカバー率)
→ 尿路感染症(大腸菌メイン)や腹腔内感染症には使えない
PIPC/TAZ(ピペラシリン/タゾバクタム):ゾシン®(緑膿菌カバー)
・アンピシリンスルバクタムのスペクトラムに加え、耐性化した大腸菌、緑膿菌などの院内感染グラム陰性桿菌もカバー(グラム陰性桿菌全般)する
・「グラム陽性球菌全般」「グラム陰性桿菌全般+緑膿菌」「「嫌気性菌全般」の代表的な細菌全般をカバーする
PIPC/TAZが第一選択となりうる状況
※「グラム陰性桿菌(大腸菌、緑膿菌)+嫌気性菌」による感染症での使用に限定すること
=「腹腔内感染症」、「重症皮膚軟部組織感染症」、「ICU関連感染症」と覚える
・腹腔内感染症
・骨盤内炎症性症候群(高齢者の非性交例)
・糖尿病足病変、壊死性筋膜炎などの一部の皮膚軟部組織感染症
・院内肺炎に緑膿菌の関与が疑われる場合(人工呼吸器関連肺炎)
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