ガイドライン
アナフィラキシーの定義と診断基準(アナフィラキシーガイドラインより)
定義
・アナフィラキシーとは、アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性アレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応である。
・アナフィラキシーに血圧低下や意識障害が伴う場合を「アナフィラキシーショック」という。
診断基準
血圧の目安
・橈骨動脈が触れる → SBP 80mmHg以上
・大腿動脈が触れる → SBP 70mmHg以上
・総頚動脈が触れる → SBP 60mmHg以上
参考:「血管迷走神経反射」と「アナフィラキシーショック」の鑑別点
重症度分類
・重症度に応じた速やかな対応が必要。
・特に重症度グレード2~3にかけてはエピペンを使用するタイミングになる。
【グレード1】
各症状は部分的で軽度の段階で、慌てる必要はありません。
症状の進行に注意を払いつつ、安静にして経過を追います。
【グレード2】
全身性の皮膚および強い粘膜症状に加え、呼吸器症状や消化器症状が増悪してきます。医療機関を受診する必要があり、処方された「エピペン®」があれば、注射することを考慮します。
【グレード3】
強いアナフィラキシー症状といえます。
プレショック状態(ショック状態の一歩手前)もしくはショック状態と考え、緊急に医療機関を受診する必要があります。
救急の現場に子どもに処方された「エピペン®」があれば速やかに注射する必要があります。
参照(このサイトより引用):https://www.businessclinic.tokyo/recommend/epipen
治療
酸素投与(マスク6L)
下肢挙上
急速大量輸液
・リンゲル液(ラクテック®など:生理食塩水にカリウムやカルシウムを加えたもの)
・最低1000mLは全開で
SBP≧90mmHgを目標
アドレナリン(ボスミン)
・喉頭浮腫、喘息、ショック、下痢・腹痛時がある時に施行
・0.5mg(0.5mL)を大腿外側に筋注(小児では体重kg当たり0.01mg)
・効果がなければ、5~15分毎に2回繰りかえす
・2回筋注で無効の場合
薬剤:
・エピペン注射液0.3㎎ 大腿外側部に筋注
・ボスミン(1mg/1mL/A)0.3mg 大腿外側部に筋注
※ β遮断薬、α遮断薬、ACE阻害薬を内服中の場合
グルカゴン1㎎静注または筋注を5分毎に繰り返す
(グルカゴンを最初から使用しない。必ずアドレナリンの投与後に使用する)
大量輸液
・SBP≧90㎜Hg目標に、リンゲル1000mlを30分毎(総量2~3L必要)
抗ヒスタミン薬
・H1 blocker(ポララミン5mg)+H2 blocker(ザンタック50㎎)を生食50mlに溶いて点滴静注
ステロイド(後期反応抑制効果)
中等症以上で投与
・ソル・コーテフ(ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム)500㎎
生食50mlに溶いて点滴静注
または
・ソル・メドロール(メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム)
125㎎
気管支拡張薬吸入
ベネトリン0.5ml+生食5mlネブライザー吸入
エピペン
製 品(0.3mg製剤、0.15mg製剤)
• エピペン注射液0.15mg:1管2mL中アドレナリン1mg
• エピペン注射液0.3 mg:1管2mL中アドレナリン2mg
※薬液は両規格とも1回0.3mL注入される
用 量
成人
体重30㎏以上
0.3mg 製剤を使用
小児
体重15㎏以上30㎏未満
体重に応じて 0.15mg 製剤又は0.3mg 製剤を 使用(0.01㎎/㎏)
エピペン®の保存方法
室温・遮光保存
保存温度が15〜30℃携帯用ケースに入れて保存・携帯
15~30℃での保存が望ましい:
冷所(例:冷蔵庫の中)には置かない。30℃を超えた状態で保存した場合は使用しないことが望ましい)
冷所保管(冷蔵庫など)はさける
学校で保管するときは室内の暖房や直射日光の当たらないところ、携帯するときは日の当たるところに長時間おかないこと、屋外なら日陰にて一時保管する
児童が登下校でエピペンを携帯する際、保冷剤や保冷容器などは使わなくても大丈夫
注射方法
・エピペン®を太ももの前外側に垂直になるようにし、オレンジ色のニードル(針)カバーの先端を「カチッ」と音がするまでのゆっくり強く押しつけて注射する。
・そのまま5秒間押し付ける
片付け
青色の安全キャップの先端を元の 場所に押し込んで戻します。
オレンジ色のニードル カバーの先端を机などの硬い面の上に置きます。
オレンジ色のニードルカバーの両側上部を指で押さえながら、トレーナー本体を下に押し付けて収納します。
2022/10/8
寺澤 秀一 (著), 林 寛之 (著)
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