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鎌状赤血球症(Sickle cell disease:ヘモグロビンS症)

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疾患

・ヒトのヘモグロビンは、「αグロビン」と「βグロビン」と呼ばれるタンパク質がそれぞれ2つ、計4つがサブユニットとして合わさった構造をしています。

・それぞれのサブユニットには、「ヘム」と呼ばれる、鉄を含む分子が結合しているため、ヘモグロビンは1つあたり4つのヘムを持っています。

・1つのヘムは1分子の酸素を運べるため、ヘモグロビンは1つあたり4分子の酸素を運ぶことができます。

 

参照(このサイトより引用):https://www.toho-u.ac.jp/sci/bio/column/023713.html

 

・鎌状赤血球症は代表的な異常ヘモグロビン症で、β鎖の6番目のアミノ酸がグルタミン酸からバリンに変わっている変異である。

・鎌状赤血球症は、βグロビンの遺伝子に異常があることで、ヘモグロビン同士が作用して、硬い棒状の構造を取るようになります

・正常な赤血球は、真ん中がへこんだ円盤状なのですが、鎌状赤血球症ではヘモグロビンの構造変化に伴い、赤血球の形は三日月状または鎌状になります。

・鎌状赤血球症は常染色体劣性遺伝形式をとる

・マラリア感染症との関連があり、本来生存に不利な変異が、マラリア感染症のため生存に有利に働いたため、高い変異頻度となったと考えられている。

・地理的分布にははっきりした傾向があり、変異遺伝子保有率は西アフリカでは5-20%で、中央アフリカの一部の人種では40%にのぼる。

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臨床症状

・鎌状の奇形赤血球を伴い、溶血性貧血を認める。

・急性症状では、血流障害に伴う激しい疼痛、急激な臓器内血液貯留(特に脾臓)、中枢神経発作(脳梗塞、増殖性網膜症)、感染症、持続性勃起がある。

・慢性症状としては発育遅延、腎機能障害、無血管性骨壊死、消化器症状、下腿潰瘍などがある。

 

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治療

治療は,臨床症状や合併症に対する支持療法が主となる。

造血幹細胞移植が依然として鎌状赤血球症に対する唯一の根治的治療である。.

・鎮痛薬および静注輸液(血管閉塞性の疼痛発作に対して)
・輸血
・広域抗菌薬(感染症に対して)

・予防接種,葉酸補充,およびヒドロキシウレア(HbF産生亢進)

 

予後

・現在ホモ接合体患者の予後は改善しており、平均生存期間が60歳前後となっている。

・しかしその結果、慢性的な多臓器障害を有する患者の割合は増加している。一般的な死因は,急性胸部症候群,併発感染症,肺塞栓症,重要臓器の梗塞,および腎不全である。

・成人期には脾臓は萎縮し脾機能低下に伴う易感染性を認める。

・微小血管閉塞症状として骨・関節破壊の進行、皮膚潰瘍、持続性勃起症、脳梗塞、また急性胸部症候群による死亡に注意が必要である。

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