病態生理
・腹直筋を貫く下部肋間神経(Th7~12)の皮膚終末枝が、何らかの原因により巻き込まれて絞扼することで、腹部に限局的な痛みを生じる疾患。
疫学
・一般人口における発生率は1/1800人
・20~30歳の若年女性に多いが、幅広い年齢層で発症しうる
・男性:女性=1:4(女性に多い)
症状
・急性の腹直筋外側部の腹痛で発症
・多くは慢性化する(慢性腹壁痛症候群)
・安静時には痛みを感じず、体動時に感じる間欠的腹痛を呈する
・右下腹部の腹直筋外側の腹痛が最も多い
・疼痛の程度は軽度から激痛まで様々である
・悪心や腹部膨満感、食思不振、体重減少などを生じることもある
身体所見
・疼痛部位は一本の指先程度の範囲(4㎝²未満)に限局し、接触や圧迫で疼痛が誘発される
・最強点における皮膚のpinchテスト陽性(腹痛部位の皮膚と皮下脂肪を指で摘まむと著明な疼痛を認める)
・触覚低下(綿棒での触覚低下)や冷感の低下(アルコール綿で冷たさの低下)
・Carnett徴候(カーネット徴候:腹壁圧痛試験)陽性
仰臥位で腹痛部位を圧迫し、頭部を前屈させると腹痛が増強する
参照:
Carnett徴候(カーネット徴候:腹壁圧痛試験)
「圧痛不変または増強」で陽性 ・急性腹症の原因として腹腔内病変を除外するためのアプローチ。 ・患者を仰臥位で両腕を胸にクロスして置かせ、一番強い圧痛点に医師が手を置いたまま頭部を拳上(「臍を見るようにして下さい」と指示するとよい)させ、腹部...
治療
・圧痛部位に1%リドカイン5~10mL皮下注(改善に乏しい場合は1%リドカイン4mL+メチルプレドニゾロン40㎎を同部位に注射)
・それでも疼痛コントロール困難なら手術による神経切除術を考慮
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