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過重労働対策(職業性疾患、作業関連疾患)

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過重労働による健康障害防止のための総合対策

参考:過重労働対策ナビ

参考:過重労働による健康障害を防ぐために(厚労省)

 

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過重労働による健康障害防止対策が求められることになった社会的背景

「働き方改革」の実現に向けて

「我が国は、『少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少』『育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化』などの状況に直面しています。こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています」

 

 

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過重労働対策の目的

・過重労働対策の目的は、「過労死」と「過労自殺」の防止である。

・生活習慣病一般を防止するために行うべきものであるが、とくに脳・心臓疾患(脳血管障害及び虚血性心疾患)防止精神疾患の防止が重要な目的となる。

 

 

過重労働による健康障害の防止のためには、

・時間外・休日労働時間の削減

・年次有給休暇の取得促進

・労働時間等の設定の改善

・労働者の健康管理に係る措置の徹底

健康管理体制の整備、健康診断の実施

長時間にわたる時間外、休日労働を行った労働者に対する面接指導

高度プロフェッショナル制度適用者に対する面接指導

メンタルヘルス対策の実施

過重労働により業務上の疾病を発生させてた場合の措置

労働者の心身の状態に関する情報の取り扱い

 

また、やむを得ず長時間にわたる時間外・休日労働を行わせた労働者に対しては、医師による面接指導等を実施し、適切な事後措置を講じることが必要です。

厚生労働省では、「過重労働による健康障害防止のための総合対策」(平成18年3月17日付け基発第0317008号、令和2年4月1日付基発0401第11号雇均発0401第4号改正)を策定し、時間外・休日労働時間の削減、労働者の健康管理の徹底等を推進しています。

過重労働によって発生し、又は増悪する疾病

・脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症

・心筋梗塞、狭心症、心停止(心臓性突然死を含む。)、重篤な心不全若しくは大動脈解離又はこれらの疾病に付随する疾病

・精神及び行動の障害又はこれに付随する疾病

 

過重労働が有害な健康影響を生じる機序

長時間労働を始めとした過重労働が健康障害をもたらす機序にはいくつかの経路がある。
ひとつには長時間労働は、疲労の回復や睡眠のための時間が短くなることを意味する。そのため、血圧、ホルモン分泌、交感神経活動などの生理学的過程を障害し、精神的、身体的な症状の発症に結びつく。
また、長時間労働などの過重労働は、運動不足のみならず、不健康な食事、喫煙、飲酒などと関連する。このような生活習慣は高血圧、高コレステロールなどの生活習慣病の原因となり、様ざまな生活習慣病のリスクを増大させる。

 

「職業性疾病」と「作業関連疾患」の違い

職業性疾病

・「職業性疾病」とは、医学用語で「業務上疾病」とも呼ばれ、特定の業務に従事していることによってかかる、もしくはかかる確率が非常に高くなる病気の総称です。

・労働基準法では、業務に起因して発生した負傷または疾病として定義されており、使用者は災害補償を行わなければなりません。

・労働災害として認定される職業性疾病の治療費は、全額労働保険が負担することになります。

職業性疾病の例

騒音による難聴
化学物質を扱うことによる中毒症状
手を使う業務で生じた頸肩腕障害
重量物を取り扱う作業による筋肉や関節の疾患
長時間の不適切な姿勢による腰痛
振動工具による神経障害
パソコンや電子機器の反復操作による運動器症候群

 

作業関連疾患

作業関連疾患

・職業病が特定の作業によって出現する特有な病気であるのに対して、一般の人がだれでもかかる日常的な病気のうち、特に、職場の環境、労働時間、作業による負荷などの影響によって、進行や発症の危険性が高くなる病気を作業関連疾患とよんでいます。

・作業関連疾患は、労働に伴うストレスや過労が直接的あるいは間接的に原因になるため、発症時および発症前の作業の状況によっては、労災補償の対象として認定されることもあります。

作業関連疾患の例

・問題行動(喫煙、過剰な飲酒、過食など)

・心因性疾患(不定愁訴、神経症、うつ状態)

・高血圧

・虚血性心疾患

・慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫、気管支端息)

・運動器系障害(腰痛、頚肩腕症候群)

 

なぜ労働時間を把握する必要があるのか

・労働基準法は、労働時間、休日、深夜業などについて規定を設けており、使用者は労働時間を適正に把握するなど、労働時間を適切に管理する責務を有している。

・また、労働安全衛生法においては、全ての労働者を対象に、時間外・休日労働時間数が百時間を超える労働者から申出があった場合には事業者が医師による面接指導を行うということを義務付けていることからも、労働時間を把握する必要がある。

・使用者は、労働者の健康確保を図る必要から適正な労働時間管理を行う責務がある。

 

過重な負担となり得る職場の要因

a 労働時間

労働時間の長さは、業務量の大きさを示す指標であり、また、過重性の評価の最も重要な要因であるので、評価期間における労働時間については、十分に考慮すること。
例えば、発症直前から前日までの間に特に過度の長時間労働が認められるか、発症前おおむね1週間以内に継続した長時間労働が認められるか、休日が確保されていたか等の観点から検討し、評価すること。

b 不規則な勤務

不規則な勤務については、予定された業務スケジュールの変更の頻度・程度、事前の通知状況、予測の度合、業務内容の変更の程度等の観点から検討し、評価すること。

c 拘束時間の長い勤務

拘束時間の長い勤務については、拘束時間数、実労働時間数、労働密度(実作業時間と手待時間との割合等)、業務内容、休憩・仮眠時間数、休憩・仮眠施設の状況(広さ、空調、騒音等)等の観点から検討し、評価すること。

d 出張の多い業務

出張については、出張中の業務内容、出張(特に時差のある海外出張)の頻度、交通手段、移動時間及び移動時間中の状況、宿泊の有無、宿泊施設の状況、出張中における睡眠を含む休憩・休息の状況、出張による疲労の回復状況等の観点から検討し、評価すること。

e 交替制勤務・深夜勤務

交替制勤務・深夜勤務については、勤務シフトの変更の度合、勤務と次の勤務までの時間、交替制勤務における深夜時間帯の頻度等の観点から検討し、評価すること。

f 作業環境

作業環境については、脳・心臓疾患の発症との関連性が必ずしも強くないとされていることから、過重性の評価に当たっては付加的に考慮すること。
(a) 温度環境

温度環境については、寒冷の程度、防寒衣類の着用の状況、一連続作業時
間中の採暖の状況、暑熱と寒冷との交互のばく露の状況、激しい温度差があ
る場所への出入りの頻度等の観点から検討し、評価すること。
なお、温度環境のうち高温環境については、脳・心臓疾患の発症との関連
性が明らかでないとされていることから、一般的に発症への影響は考え難い
が、著しい高温環境下で業務に就労している状況が認められる場合には、過重性の評価に当たって配慮すること。
(b) 騒音
騒音については、おおむね80dBを超える騒音の程度、そのばく露時間・
期間、防音保護具の着用の状況等の観点から検討し、評価すること。
(c) 時差
飛行による時差については、5時間を超える時差の程度、時差を伴う移動
の頻度等の観点から検討し、評価すること。

g 精神的緊張を伴う業務

精神的緊張を伴う業務については、別紙の「精神的緊張を伴う業務」に掲げられている具体的業務又は出来事に該当するものがある場合には、負荷の程度を評価する視点により検討し、評価すること。
また、精神的緊張と脳・心臓疾患の発症との関連性については、医学的に十分な解明がなされていないこと、精神的緊張は業務以外にも多く存在すること等から、精神的緊張の程度が特に著しいと認められるものについて評価すること。

 

実労働時間の把握が困難になる労働者の例

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

(1)管理・監督者
労働基準法の労働時間に関する規定の適用がないため、その労働時間の把握が困難となる。
(2)みなし労働時間制が適用される労働者
① 事業場外で労働する者であって、労働時間の算定が困難なもの
② 専門業務型裁量労働制が適用される者
③ 企画業務型裁量労働制が適用される者

・事業場外みなし労働時間制などが適用される労働者

労働基準法第38条の2による事業場外労働のみなし労働時間制とは、労働者が業務の全部又は一部を事業場外で従事し、使用者の指揮監督が及ばないために、当該業務に係る労働時間の算定が困難な場合に、使用者のその労働時間に係る算定義務を免除し、その事業場外労働については「特定の時間」を労働したとみなすことのできる制度です。

・働き方改革によって進められている「兼業・副業を行う労働者」

 

時間外・休日労働時間数

・1ヶ月の総労働時間数

=労働時間数+延長時間数+休日労働時間数

 

・時間外・休日労働時間数

=1ヶ月の総労働時間数-(計算期間(1ヶ月間)の総暦日数/7)×40

 

正しく労働時間を把握する方法

● 始業・終業時刻の確認及び記録

労働時間を適正に把握するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録する。

● 始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法

始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。
・使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。

タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。

 

やむを得ず自己申告制で労働時間を把握する場合の留意点

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

・自己申告制の対象となる労働者に対して、本ガイドラインを踏まえ、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。

・実際に労働時間を管理する者に対して、自己申告制の適正な運用を含め、本ガイドラインに従い講ずべき措置について十分な説明を行うこと。

・自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。特に、入退場記録やパソコンの使用時間の記録など、事業場内にいた時間の分かるデータを有している場合に、労働者からの自己申告により把握した労働時間と当該データで分かった事業場内にいた時間との間に著しい乖離が生じているときには、実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。

・自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間について、その理由等を労働者に報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかについて確認すること。その際、休憩や自主的な研修、教育訓練、学習等であるため労働時間ではないと報告されていても、実際には、使用者の指示により業務に従事しているなど使用者の指揮命令下に置かれていたと認められる時間については、労働時間として扱わなければならないこと。

・自己申告制は、労働者による適正な申告を前提として成り立つものである。このため、使用者は、労働者が自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設け、上限を超える申告を認めない等、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと。

・また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。

・さらに、労働基準法の定める法定労働時間や時間外労働に関する労使協定(いわゆる 36 協定)により延長することができる時間数を遵守することは当然であるが、実際には延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを守っているようにすることが、実際に労働時間を管理する者や労働者等において、慣習的に行われていないかについても確認すること。

 

 

実労働時間の把握が困難になる労働者の労働時間の把握

始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、次のいずれかの方法がある。
(1)使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること。
(2)タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。
(3)事業場外のみなし労働時間制が適用される労働者については、各日ごとの自己申告。

・一般の労働者の労働時間の把握は、「タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法」によるべきである。

・しかし、これが困難な労働者については、労働者の自己申告による把握が考えられる 。

 

残業時間の情報提供

  • 1ヶ月あたりの「時間外・休日労働時間」が80時間を超えた労働者の氏名、及びその労働者の超えた労働時間に関する情報、並びに労働者の業務に関する情報で産業医がその労働者の健康管理に必要と認める情報
  • 健康診断実施後の措置等

 

※ 1月当たりの時間外労働時間が80時間を超えると、1日当たりの平均で睡眠時間が6時間よりも短くなると言われている。

 

 

 

 

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