疾患
・原因は不明だが、主にウイルス感染(単純ヘルペス(HSV-1)が多い)や虚血によって前庭神経が障害されることによって起こるとされる説が有力
・めまいの発現の数日前に上気道感染症、あるいは感冒に罹患していることがある。前駆症状として上気道炎が認められた割合は17-60%と報告により差がある
(※ ただし感冒症状がなくても否定はできない)
・突発性の回転性めまい発作で発症し、その後、体動時あるいは歩行時のふらつき感が持続する。
・聴覚障害(蝸牛症状:難聴、耳鳴り、耳閉感)を伴わない
・1回のめまいの持続時間は24時間以上にわたることが多い(10分程度から数時間程度のめまい発作を特徴とするメニエール病との鑑別点)。
・症状が重篤なため、しばしば小脳梗塞や脳幹梗塞といった中枢性の脳血管障害との鑑別に悩むことがある(「急性重度めまい」に分類)
・基本は除外診断
症状
・数時間で増悪する急性発症の回転性めまい。
・激しい回転性めまいが1~数日続くため、入院治療が必要になることが多い
・聴覚障害(蝸牛症状:耳鳴、聴力低下、耳閉感)は伴わない(↔ AICA梗塞との鑑別点)
・頭位によらない健側へ向かう方向固定性水平眼振を認める。
・大きなめまい発作と嘔気・嘔吐後に、ふらつき感、頭重感が数日間続き、
その後1~2週間かけて軽快する。
・前庭神経炎であっても、BPPV同様に頭位変換でめまいを生じるので注意
(鑑別はめまいの持続時間で)
・発作は1回で、繰り返さなず、原則的には再発しない。
小脳、脳幹梗塞との鑑別
・脳幹・小脳梗塞、出血を否定してから診断する。
・「急性重度めまい」(急性発症で重篤、持続性の眩暈で嘔気嘔吐を伴う)場合は「中枢性」か「前庭神経炎」いずれか
・明らかな神経学的異常所見がなくても、支えなしに歩行できない場合は中枢性を疑う。
治療
急性期対症療法
内服可能な場合
・ジフェニドール(セファドール®)1回25㎎ 1日3回
・ベタヒスチン(メリスロン®) 1回12㎎ 1日3回
・ジフェンヒドラミン(レスタミン®) 1回10㎎ めまい時頓用1日3回まで
内服できない場合
・メトクロプラミド(プリンペラン®)10mg/2mL 筋注または静注
・ジアゼパム(セルシン®)5mg/1mL または10㎎/2mL 筋注
耳鼻科での治療
・治療はステロイド(耳鼻科コンサルト必要)
参考文献
レジデントノート 2022年8月 Vol.24 No.7 めまい診療 根拠をもって対応できる!〜“何となく”を解消!救急でよく出合う疾患の診断ポイントと原因を意識した処置、フォロー・再発予防
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